第3話 現状の確認と対策

 さて、このゲームを開始してからもう何度か死んでいる。

 幸いだったのは、死ぬというのはあくまでも数値と色の問題であり、瀕死になったとしても全く問題なく動けるところである。モンスターからダメージを受けると痛い(めちゃくちゃ痛い)が、その痛みが持続することはない。瀕死になると何だか目の前がオレンジっぽくなるが、それ以上の不利はない。

 HP1でも全く問題なく戦えるし、逃げることもできる。死んだ時はまず、目の前が真っ赤になる。その後に気を失い、例の王様のお言葉をいただくことになる。

 とりあえず、そこはあまり気にしなくてよいというのは収穫だ。


 さて、ここからだ。

 現在地は、最初の城ジーノ。

 装備品は銅の剣と皮の鎧。仮にも一国の王子のはずが、まぁ、貧相な装備だこと。モブ兵士が持っているのは槍みたいで、この銅の剣よりは上じゃないかと思う。皮の鎧も多少の軽減にはなっているだろうが、それも強くない。

 装備が貧相なのは、RPGのお約束。ちなみに、宝物庫のようなところがあるが、鍵がかかっていて入れない。これもお約束だ。

 ただ、設定的にはこの国の王子なわけで、王子に対しては、もうちょっと何かあってもいいと思う。ただ、最初の城のためか、非常に単純な作りをしている。一歩間違えば貧相と言われても仕方ない。そう考えると、この国は貧乏なのかもしれず、王子に用意できる精一杯がこの程度だったのかもしれない。

 なんだか世知辛いな。


 他の道具はなし。

 お金は全滅の度に半分に減っていたので、残金は10ゴールド

 最初の所持金は50G。ちなみに薬草は12Gで、毒消し草は15G。


 ほとんど持ってないってことだ。

 というか、薬草を4つ買って所持金がほぼ0になるバランスで始まるこのゲーム。物価高すぎるのか、所持金が少なすぎるのか、あるいは両方か。薬草が12Gで売っているのに、王子の小遣いは50G。国が貧乏と言うよりは王がケチなだけが気もする。


 LVは1。HPは26。HPは敵からの攻撃を受けると、減っていき、0になると死ぬってやつ。脳筋なので、魔法は使えない。

 他の自分のステータスは力と素早さのみ。攻撃力と守備力は、装備品と力と素早さで計算されるようだ。

 シンプル・イズ・ザ・ベストを体現した仕様である。

 己の肉体と武器で敵をほふるしかないが、一ターン一撃。今のところ、同時に襲って来るモンスターは最大三匹。最速でも3ターン必ずかかる。ゲームの再現のためか、1体に対する攻撃を選ぶと、次の攻撃をするまでには必ず敵の攻撃も受けることになる。こちらの番と相手の番が決まっていて、こちらだけ一方的に攻撃できるとかがない。こちらの攻撃する数だけ相手からの攻撃も受ける。シビアな世界だ。


 しかも、同じダメージを与えても、倒せるとは限らない。今のところ、差はわずかであるがどうもモンスターにも最大HPが多い個体と少ない個体があるようだ。


 行動順は素早さが反映されるかは分からないが、先制されることが多く、順番もよく分からない。


 この攻撃順がランダムというのは、かなり理不尽だ。数値だけなら、上回ってるとか、意味がない。相手の素早さも分からないんだけどね。今のところ、HPが満タンだからと安心できる要素はない。

 目的地は、とりあえず、この城の西にあるリクタという町。

 最終的な目標はラスボスを倒すこと。今のところ、この世界では邪教を信仰しているものがおり、その邪教の信者がモンスターを召喚しているらしく、その邪教の最高指導者大司教リフーガが元凶ということになっているので、そいつを倒せば、世界に平和が戻ってくるとのこと。

 王様によれば、他の城に勇者の血筋の者が2人いて、そいつらを探し出して、一緒に旅をしろとのこと。城の人に聞いた情報によれば、一人は王女らしく、美しいのと評判だ。ただ、王女のいた城はモンスターに襲われたらしく、心配だとのこと。

 だが、なんだかんだと言っても王女は王女。かなり期待したい。


 さて、結論だが……隣町リクタに行くためにレベリングと回復アイテムを購入。

 

 どのくらいレベルを上げればいいか分からないが、とりあえず、モンスターを一撃で倒せるようになるぐらいというのを目安にしよう。

 それから、回復アイテムはとりあえず、3つ程購入予定。幸いにしてモンスターを倒すと、少なくとも2Gは金を落とす。どういった仕組みか知らないが、落としたお金はそのまま通貨として通用するんだから、気にしないでおく。ゲームというのはそういうものだ。


 宿屋に泊まるとHPも全回復するが、これは最初の城だけあって、非常に良心的で5G。モンスターを全部で3匹倒せばいい計算だ。

 

 レベルが上がるまでは全滅することも計算のうちで戦うしかない。

 

 ちなみに、この城。

 武器屋防具屋というものがない。

 どうなってんだ? 普通に考えて、城の守りとかどうやってんだ? 何か聖なる祈りの力とかでなんとかなってんの?

 最近のRPGだと、初期装備よりちょっと強いぐらいの武器は最初の街にも売っているものだが。


 そうして、LV3にした。ちなみに全滅二回。

 ここらの敵はほぼワンパン。ほぼというのは、乱数によるダメージの幅が大きすぎて、確定ワンパンとまではいかないからだ。

 ただ、HPは。敵から受けるダメージも2までになっていた。

 とりあえずは、安定して戦えるようになったと言っていいだろう。

 ただ、次の街まではどのくらいの距離あるか分からない。ということは、敵にどれだけ遭うか分からないということ。


 やはり、回復アイテムは必須だな。

 新たな敵が出てこないとも限らない。貯めたお金を使って、薬草を買っておく。

 いざ、隣の町リクタへ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る