第15話1110

ノノラが第4惑星であるレイストル(ノノラから聞いた)の王国へ向かい、邂逅を果たそうとしている時、俺達もほぼ同時進行で帝国へ赴こうとしていた。


「んー…艦種はどうするべきか…」


しかし俺は悩んでいた。帝国に行く際は盛大な演出をしたいと思っているからだ。


「亡霊シリーズは不気味過ぎるし、テラオブシディアンは強力過ぎて却下。むしろ着陸した瞬間に帝国の大地が重力で破れる。となればやはりトラベラーシリーズか」


ゲーム時代、11年と言う歳月をかけ運営は様々な艦種をシリーズものとして実装してきた。

最序盤の一般的な宇宙船である反逆者シリーズから始まり、宇宙を守る警察的組織の船であるレンジャーシリーズ、そのレンジャーを潰そうとしている悪の会社ブラックホールディングスシリーズ、さらにその組織の親玉であるイビルツリーシリーズ、そして宇宙の深淵たる亡霊シリーズなどなど、様々な艦種がある。


その中でも運営が演出に凝ってきたのはイビルツリーシリーズからで、このシリーズは今までの先進的宇宙の形を捨て、不気味なものから神秘的なモノまで数多くの艦種が出始める。

特に亡霊シリーズはその不気味さでひと時話題になった。

パッと見はレンジャーシリーズの船だが、近づけばその異様さが分かる。ボロボロになった船体から赤黒い液体が漏れだしその艦首部分の窓には多数の手形と無数の人の顔と思しき不気味な模様が蠢いている。冗談抜きでショッキングなシリーズであるがその性能は凄まじく、破壊した相手の船の破片を吸収し船体を修復。さらにその余剰エネルギーで攻撃力も高めるとと言った感じにほぼ無敵状態だ。無論無敵ではない、シールド装備欄が無く、どんな攻撃も直で受けいくら修復しようとも圧倒的な火力や物量で押しつぶせば直ぐに破壊される。


で、最初はこの不気味な亡霊船で行こうと思ったがファンタジーよろしくアンデットが普通にいると言うこの世界でそんなもの持ち込んで挨拶しに行ったら間違いなく邪悪な集団になる事間違い無し。

なので、その後に実装された光子体エイリアンが開発したとされるトラベラーシリーズにした。決め手はシールド膜が青く輝く銀光を放っており神秘で、宇宙,惑星関わらず次元の狭間に姿を隠し移動出来ると言う点だ。


つまりは全くのロマンである


そう、ロマンである!(`・ω・´)


「よし、トラベラーの中でも超大型船であるグレートマザーシップにしよっと」



割と適当な感覚?で艦種を選び発進準備をさせる。


「おお!久し振りに光の船が動くでござるなぁ!」


目を輝かせ興奮を隠しきれないと言った感じのユノを放っておいて乗り込む


「しかしまあ、作ったはいいが本当にデカブツだな…そのくせ最近船のインフレが激しくなってでかいくせに弱いからほとんど日の目をみる事はなかったなぁ。それがこうして…」


などと感慨深く思い何故か一礼をして入る。思わずした行動だが、後から続くアンドロイド達も俺を真似て一礼して入る姿は少し面白くもあった。


楕円形の艦内はその外見と比例してべらぼうに広い。艦首部分だけで総勢30体のアンドロイド達が入っても閑散としている。

ちなみにデカブツと言ったが普通にデカイと言うより広い。どのぐらいデカイと言われれば淡路島をすっぽり隠せる程と言えばその大きさが分かる。普段は高次元格納庫に収めているが一旦外に出すと視界がコイツで埋まる。知ってるか?こんな馬鹿でかいものが光速の10%の速さで動くんだぜ?まあその為の次元移動なんだけど。


「この船はこれ一個だけでござるか?」


「ああ、そうだ。あまりに大きいために艦隊の編成すら出来ない…その分ビーム兵器は強力だがな」


この船、特徴はデカさだけではない。その巨体ゆえの耐久、特にシールド耐久値は億に達している。それとこの船には専用のビーム兵器しかのせる事が出来ず、非常に強力だが射程距離が短い欠点もあり、まさしく動く要塞。


「出発準備が完了しました司令。」


「ご苦労!それでは我々も邂逅しようか!未知との遭遇に!」

まああっちの原住民の方がよっぽど未知との邂逅だろうけど。


基地に待機させてあったコンパスシップで巨大なワームホールを船体の形に合わせ楕円形で発生させ、いっきにレイストル星まで飛んだ。

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ユニバース&ファンタジー うすしおごまらいす @Nazha96neko

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