第13話1100
「ノノラ=トーラ・エスミルムス、ただ今参りました」
そう言ってノノラは片膝をつき、その膝上に両手を置く。
(おそらくこれが王国流の礼儀作法なんだろうな。でも)
「ここは王国じゃあない。礼儀も王女としての品格も無用だ。俺はノノラ、君自身と話がしたいんだが、いいか?」
「はい…ゆうと総督司令。わたしに伝えたい事があるとミコトお姉様にききました」
そう俺はこれからの方針を決めなければならない。それがこの世界に大きな変化をもたらすとしてもだ。
ーーーーーー
事前に作成していた英文を下手な発音でもなんとか読み、これからの方針もとい侵略の内容をノノラに説明した
「侵略…ですか」
「綺麗事はいくらでも言える。だけどやる事は侵略行為そのものだ」
先の戦闘介入,それとノノラから得たこの世界の概要の情報を加味し、この世界との交流を図る事に決めた。
魔術と言う科学と違う法則で万物を操作する術。
人間以外の多種多様な種族がそれぞれの惑星で生活を営み5年に1度、惑星同士が行き来出来るゲートが開き交流も出来る。
ジャパニメーションをもってしてもこれ程ワクワクする異世界はそうそう出会えない。
そんな世界が目の前に広がっているのだ。宇宙の片隅で引きこもるなんて出来ない。
しかしだ。下手に接触すれば参事は免れない。ましてはオーバーテクノロジーの塊で我々では世界そのものを崩壊させかねない。
何故そう思うのかは現代にある数々のSF作品からの警告があるし
早すぎる技術の革命は富をもたらすが、その反面急激な格差を生み争いが起こる。元いた人類の歴史からもこのことは学べる。
で、話は戻る。
接触したいが一歩間違えると破滅、そこで俺が考えた末の結論が侵略だ。
侵略と言っても武力による制圧ではなく、技術や理念,思想に対する文化的侵略。
要は中途半端に舵取りを世界の命運に任せるのではなく、自分達で管理してしまえばいい。俺はこの言い分をノノラに説明したのだった
「もし、その舵取りが上手くいかなかった場合はどうなされるのでしょうか」
「極力、武力による制圧は行わない。それをすれば我々は本当の意味での外敵になる。そうなれば戦争は確実だろう。
だが必要に迫られれば覚悟は出来ている」
ゴクリ。とノノラが唾を飲む音が聞こえた。
「ノノラ、分かってくれとは言わない。もしこの件について納得出来ないなら速やかに君を返すつもりだ」
「いえ、私は…私はあの時死んだも同然。世界の真実を教えてもらい、親しい友人も数多く出来ました。この命、全てここに捧げるつもりです」
「ありがとう。だけどもし、嫌になれば直ぐにでも元の世界に返そう。立場上冷酷な決断を下さなければならない事もあるからな」
「はい」
「よし、以上!硬い上に長い話は苦手なんだ」
ノノラは思う。
どうしようもなく遠い場所に来てしまったが、これが私に定められた運命なのだと。そしてミコトを見、これからもやっていけそうな気がすると。
「で早速で悪いんだけど」
「は、はい?」
「君の祖国に我々の存在を知らせに行ってはくれないだろうか」
「わ、私がですか⁉︎」
「いや祖国に裏切られて一度死にかけたのに行かせるのは酷だとは思うが、君はかつて白翼の騎士団と言う国民的英雄だったのだろ?それに国政にも内通している」
「なるほど。私ならば警戒心が薄れると。しかし私を良く思わない者は逆に警戒するのでは?」
「それを利用したい、すでに君は王国の支配から離れ新たな主君を見つけたと」
ノノラは全て合点がいった。かつては王国のために献身的だった王女が戦いから帰り、自分はもう王国の者では無いと言えば国全体がこのベースに興味を持ち、同時に、裏切り者とも捉える事が出来るため大臣達は手を引く。
「まあ、わざわざ君を消すために帝国と手を組む程だ。万一に備えて護衛のアンドロイド2機、副官のスズを同行させる。
「スズちゃんを貸してもらえるのですかっ!」
「えっ何か問題でもあるのか?それにちゃんづけ?」
「あっ、いえ!(危ない、スズちゃんが可愛くて毎日なでなでしたかったから是非お願いしますなんて言えない)」
「まあ、そう言う事で協力してもらえないだろうか」
「大丈夫です!(スズちゃんがいるなら喜んで!)」
「何か喜んでる様に見えるけど…まあ協力してくれるならありがたい。明日送り出すので準備しておくように。それとスズにはこちらで話はつけておくから」
「了解ですっ!」
ついに世界は動きだす。新たな時代へ向けて
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