Extra story1

これは外世界系、名称“イグノトゥース”探索命令が下ってあらかた必要な情報が集まった頃の話である。


「それでは!第1回恋せよアイアンハートの会を始めるで!」


ノリノリで白板を叩きながらいう彼女はナツメである。


「ごめなさい、いきなり副官達を集めて。セツナがどうしてもこれをやりたいらしいの」


困った表情をして弁明しているのはミコト。


「それは問題ないでござるが拙者達副官を集めて何を話すのでござる?」


「ユノ、タイトルを見れば大体予想は、つく。」


「ハヴィも最初聞いた時は何事かと思ったよぉ」


「まあ細かい事抜きで、これからうちらにとって大事な事を話すねんで。議題はズバリ!“ゆうと司令へのアプローチをどうするか”や」


キーン


皆一斉にナツメを見る副官達の目が戦闘時の翡翠色に輝く。


「それは拙者達にアプローチをするなと言う事でござろうか?」


「もし、そうなら…全面戦争…不可避」


「待って待って!そう言う事やない、むしろ逆や」


「じゃーあどういうこと?」


「うちらが個別でアプローチしてもゆうと司令はなびかんのやと思うねん」


「なぜそう思うのか理由が聞きたいですね」


目を細めてミコトが言った。


「正直ゆうと司令はうちらの事をただ優秀な部下としか見てへんねんやとおもうんや」


「そうですね。だけど私は優秀な部下でも良い、ゆうと司令の側にいられるだけで幸せです」


「せっしゃも主人の役に立てるだけで良いでござる」


「本当にそれでええんか!?確かに創造主たるゆうと司令に対してこれ以上望む事はない。けど、アンドロイドとしてじゃなく一人の女性としてうちはゆうと司令とイチャイチャしたいんやああ!」


「いいきりましたね」


「ついに本性、現した?。」


「でござるな」


「ナツメちゃんって、意外とビ◯チ?」


「そんな事言うて…うち知ってるんやで。ミコトは自室にゆうと司令の写真と古着持って毎晩…」


「ちょっ!ちょっと!ナツメ!?何故あなたがそれを!?」


「スズも自室にゆうと司令のホログラム用意して褒めてもろうてる」


「ナツメ。あれは快感。」


「ユノは監視カメラに映るゆうと司令を尾行してニヤニヤしてるし」


「ナ、ナツメどの!?あれは、あれは違うのでござるぅう!」


「ハヴィに至ってはゆうと司令の抱き枕何個持ってんねや?」


「さ、さぁ?…ハヴィちゃん、知らないよー」


「ほら図星やん!なんやかんや皆欲求不満やねんやろ?うちはな、みんなが協力してゆうと司令を堕とさなあかんと思う。もう一人一人がアプローチかけてもあかんのや!」


「確かに。皆んなが欲求不満なのは置いといて、今のままじゃ駄目だと思います!」


「せや!そこで条約を結ぼうおもて」


「条約…?」


「内容はどのようなものでござろうか」


「まずは抜け駆け禁止や。そして二つ目はアプローチをかける時には全員で計画を練って連鎖的にアタックするんや。そして三つ目はこれはうちら副官のみの秘密」


「いくつか質問があります」


「ほいミコト」


「抜け駆け禁止をする意味が分からないのと、副官だけの秘密とはゆうと司令は勿論、他のアンドロイド達にもですか?」


「まず抜け駆け禁止は、抜け駆けして一人で突っ走っても空回りするだけや。それはもう結果が出とるしな。副官だけの秘密はミコトの言う通りやで」


「連鎖的にアタックってどーゆーこと?ハヴィちゃん分からない教えて」


「せやね。まず皆んなで一斉にアタックしてもゆうと司令が大変や。それになんやかんやで皆んな自分を見て欲しいやろ?そこで順番を決めて短いスパンで連続アプローチを仕掛ければゆうと司令も少しずつうちらへの認識が変わると思うねん」


「なるほど。私はこの提案に賛成します」


「ん。私も問題ない。」


「せっしゃも理解出来たでござるよ」


「ハヴィちゃんもさんせーい」


「よし!決まりや!それでこの条約の名前なんやけど…」



こうして悠人が知らない所で粛々と彼女達の計画は進んでいく…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る