第11話1010

結果から言うとそれは戦闘と呼ばれるものではなく、ただ一方的に虐殺したと言っても良い結果だった。故に…


「申し分けありません、ゆうと司令官!このミコトどのような罰もお受けします」


そこには綺麗に額をつけてぺたんと土下座をくりだしているミコトがそこにいた。


「…」


他の副官アンドロイド達も固唾を呑んで見守っている…


「はぁ…、俺の事を第一に考えての行動なのは分かる。だが次から自分の行動した結果がどう影響するか考えて実行するべきだ。…話は以上!」


「「「「はぁ〜…」」」」


他のアンドロイド達も胸を撫で下ろしたようだ。


ミコトは一番初期から居るアンドロイド故、皆に信頼されている。


そのミコトが土下座をしたのだ、皆心配にもなるだろう。


「ゆうと司令!ありがとうございます!好きです!」


「「「「…」」」」


「はっ!?い、今の好きは違うんですよ!?ただ信頼している証の好きであって…でも決して嫌いと言う事でも!もっと深く言えばぁ…」


「ああ。分かっている、俺もミコトを副官として信頼しているからな」


「「「「…」」」」


今度は俺を副官達がジト目で見てきて、何故か他のアンドロイド達一同が「やれやれだぜ」と言いたげのように振る舞う。


「ゆうと司令!地上付近に人型の熱源があるで!」


「ナ、ナツメ!?あなたいつから見ていたの!?」


「最初っから全部見とったわ!それより早くせんと、どんどん体温下がっていってまう!」


「至急生存者を救出しに向かう!絶対に死なせるな!」


現状最も速いデストロイヤーで今回唯一と見られる生存者を救出、かなりの重態らしく即座に俺たちは撤退も合わせてワームゲートを開きベース基地へと戻った。



ビー!ビー!DAIHACHISOUKONINIMOTUGATODOKIMASHITA


私が最初に聞いたのは奇怪な音声だった。おそらく女の人が何かを言っているらしいが全く意味が分からない。


「ぅん…ここは?」


目が光に慣れてうっすらと自分が居る場所が見えてくる。どうやら私は白い部屋にいるようだ。


「…私死んでここに来た…の?」


誰に問うでもなく口から言葉が溢れる。


あの時確かに自分は瀕死の状態だった。あの周辺に村はおろか病院なんてない。仮に病院があっても私は間に合わない。だとすればここは…


カシャー


そう考え込んでいた時、白い部屋の一部が横に移動してそこから金髪の美少女が姿を現した。


「A,OKITOTTAN」


「!ルーシャ、貴方なの!?」


いや違う、金髪以外は容姿も全然違う。ルーシャは私と同じように裁かれてはならないのだ。ここに居るはずがない。


「Nー…KORE英語YANE」


!今一瞬私が知っている言葉が聞こえた気がした。


「調律(チューニング)、これでわかるかぁ?」


「!貴方は誰ですか!?ここは!?白翼騎士団のみんなは私と同じ煉獄に送られたのか!?」


「あー、待って待って。うちはあんたのこと任されて無いんや、今ミコトっちゅう…うちの上司呼ぶから待っててな」


そう言うと金髪の少女はまた壁の向こうへ消えてしまった。私は上体を起こし、自分の体を見た。


「なんだ…これは…」


あの時潰れた右足が金属の骨と筋の様な物に置き換わっていた。服も薄い布みたいだがかなり丈夫らしく強く引っ張っても破けなかった。


「右手も!なんだこれ、私の体じゃ無いのに私の体みたいに自由に動かせる!」


右手のひらも、あの咄嗟に時地面に手をついたせいで砕けたはずであったが。


「私は、ここは、一体どうなっている!?」


改めて意識を集中すると心臓の鼓動が聞こえる。つまり…


「私は死んでいないのか?」


カシャー


部屋が開く音だ


「本当に英語を話すのですね?」


「せやで、うちちゃんと会話できたし」


「綺麗…」


金髪の美少女が連れてきた上司と言う女性がやって来たが、同じ女である自分でさえ目を奪われる美しさだった。


髪は珍しい黒、しかしその長い髪はツヤがありまるで絹の様なしなやかさがある。そして身長は金髪少女より少し高く、胸も大きい。私は腹違いのお姉さんはいるが、大人の女性の魅力がそこにはあった。


「あ、貴方は?」


「私はMIKOTHO、こっちはNATUME。貴方は自分の最後をどこまで覚えているかしら?」


「なあMIKOTHOうちちょっとこの後人工衛星の周回軌道計算をせなあかんねんけど…」


「そうだったわね、いってらっしゃい」


「かんにんなー」


カシャー


「無理はしなくいいわ、今がダメならもう少し後で思い出してもらって大丈夫よ」


「ここはどこなのだ!?私が助かったなら白翼騎士団は!?」


「その事も話すためにまず貴方に私達の事知って貰いたい。でも、私達も貴方が何処の誰だか分からないと話が進められないの」


私は…彼女達の事を信頼しても良いのか?


「っ…何を今更、私は死んだも同然。王国の事なんか考えても仕方ないな……分かった全部話す」


「いいの?辛かったら…」


「いい、私は私が生き残った理由を知るために…他の騎士団の皆の分まで生きねばならないのだ」


「そう…分かったわ、ゆっくりでいいから聞かせて、貴方の事」


そして私はミコトと言う女性に全てを打ち明けた。自分がトーラ王国第6王女である事、あの戦いは王国の大臣が仕組んだ戦である事、そして最後に見た黒い神々の船の事を。


最初は言いにくい事が多かった。だけど今まで王国に対して思って来た事、騎士団の皆の事など、このミコトと言う人は親身になって聞いてくれて私は全てを暴露したにもかかわらず胸の重しが全て取れた気分になっていた。

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