第4話0011

第2回外世界系会議では副官アンドロイド以外にも武器研究、技術研究、資源開発の3部門のアンドロイドも参加していた。


「ではこの10日で集められた情報をわたくし、ミコトが代表となって報告させていただきます」


皆が一斉にミコトの報告を逃すまいと視線が集まる。皆、一様に不安の顔もあるが同様にわくわくもしていると察せられた。


“未知”とは多くの可能性と不安要素があるからだ。かく言う俺も不安というよりわくわくの感情の方が強い。


「まず資源ですが、二つの惑星より、鉱物資源と気体資源および液体資源を発見しました」


各技術職担当代表のアンドロイド達がふぅと安堵のため息をついた。


「この、二つの惑星には生命体の反応はありませんので、概算で約100年以上は安定して資源を供給する事が可能です。しかし反物質は確認できていません」


やはりか。俺はそう思った。反物質、ゲームの時は船の燃料及びこのベース基地の中核である反物質崩壊炉などに用いられる重要なこの資源は、敵NPC艦隊を倒したり、“次元の裂け目”と言う各惑星ごとのポイントで取得が可能だった。


しかし全くの別宇宙である現在の座標では見つかる可能性は低いだろうと考えていた。


「反物質がとれないとなると完全に自己生産に頼らざる終えないか…。ミコト、現状でどのくらいまでなら需要と供給が釣りあう?」


「船の燃料や武器の推進力を含め反物質崩壊炉も考慮しますと、大規模な艦隊が殲滅されない限り、供給は間に合うと思います。一つのアンチセルで膨大なエネルギーが産出されるので下手に使わないかぎり大丈夫でしょう」


「ふむ。なら気体資源を多めに採取してくれ、反物質の枯渇だけはまずい」


資源開発部のアンドロイド達がうなずく。


反物質はこのゲームの最も重要なファクターであり全ての事に欠かせない物質だ。これが枯渇すればベース基地の全ユニットが停止するし、艦隊も動かせない。


反物質は自分の基地にある気体圧縮電離層装置と言う機械で少しずつ生産は出来るが、代わりに膨大な量の気体(主にヘリウム-4)が消費される。それ故に気体資源の確保を多めに指示した。


「では次に行きます。これが最も重要課題と言えます」


これがナツメが言っていた事か?


「3つの惑星で生命体を確認しました。しかも高度な文明も見受けられます」


「なに!?」


周囲が一斉にざわめく。


「高度な文明?未知との遭遇じゃあるまいし…。生命体は俗に言うエイリアンか?」


「一応別の惑星環境で適応して生存してきたのでエイリアンはエイリアンです」


「ああ。それもそうだな…て、そこじゃない俺が言いたいのは人型であるのか、異形であるかだ」


「はっ!申し訳ございません!人型が多数、他にも異形の生命体はいくつか確認出来ましたが高度な文明を築いているのは人型…というより完全に人間です…」


絶句した。ゲームの時でも緑色の肌をしたエイリアンなどを雇うなど出来たりしていたが人型はアンドロイドかプレイヤーしか居なかったからだ。さらに人間がいると来た。


「3惑星と言ったな?その全部にか?」


「全部にです」


つまりすでに惑星間を超える技術を保有している可能性がある。


「それってつまり、相手も強力な武器を所持してるっつうこったか!?」


たまらず、と言った感じに武器研究の主任アンドロイドが声をあげる


「把握しかねます。現状、衛星軌道上などに人工衛星やその他装置らしき物体は発見出来ていませんし、惑星間を移動する船などは一切確認出来ませんでした」


なんらかの技術でステルスになってる可能性もあるが、これ以上の調査は実際に惑星に行かねばなるまい。


「高度な文明とはどのくらいだ?」


「詳細な事は不明ですが、近代的な建物がいくつか存在していました。それ以上の事は…」


「いずれにしろ調査に向かわなければならないようだな…。緊急命令を出す!」


皆が唾をのむ


「速やかに資源調達を行いベース基地の強化を図ると共に知的生命体の住む惑星を調査する!彼らはまだ敵と決まったわけではない!話が通じる相手なら大宇宙を旅する友になれる!現時刻を持って行動を起こす、確実持ち場に戻り務めを果たせ!」


「「「「「「「「「「了解 !」」」」」」」」」」


こうして二つの世界が交わることとなった。

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