第3話0010
メール文には第1回外世界系円卓会議と書かれていた。
(よし、これで全員への通達は出来ているだろう)
「しかし…初期設定とはいえ、イタい見た目だまったく」
今の俺は大学時代の黒歴そのままの姿で、設定上サイボーグになっている。
右手は完全に機械の腕、顔の右半分も金属製で目も赤く光っている。さらにはどこぞの提督並みに軍服を着こなしている。
当初はこれでもカッコいいと思っていたが、30手前のでこの格好は流石に羞恥を覚える。
(ミコト達アンドロイドに変に思われてなければいいけど…)
そうこうして考えを巡らせて居ると円卓に彼女達が集まって来た。
「全員集まりました、司令官」
「ん…あつまった」
「うちがちゃんと連絡しといたで♩」
「ハヴィちゃんもいるょお!」
「あるじの呼び出しに応じ、参上つかまつったでござる!」
改めて見ると非常に個性豊だなと思う。声がない頃はそこまで気にして無かったが、声が付くとこう…何というか…いや。気にしないでおこう。俺の黒歴史が痛む
「おう…。さてここに集まったのはすでに把握してると思われるが、なんらかの問題でワープ事故が起こり…おそらく我々は全く違う宇宙に転移してしまったという事だ」
副官5名が全員頷く
「ミコトから今分かっている事を皆に話してくれ」
「かしこまりました。ゆうと司令」
そうしてミコトはNPC専用のクリスタル端末を操作し円卓前の画面に惑星系を映し出した。
「これが現状の惑星系です」
この時俺は驚いていた。ワープ前でのNPCキャラはこんな風に報告などしない。改めてミコト達副官はもはやプレイヤーと同等、あるいはそれ以上の“人”として接しないといけないと思った。
「この画像はついさきほど惑星レーダーを用いて放射測定を元に算出したデータなのでざっくりとした情報しかありません…」
その後もミコトはそつなく報告を終えた。
「ありがとうミコト。流石は第1副官だけな事はある」
「いえ!これはナツメさんや基地に勤めている皆様のおかげです。私はまとめただけに過ぎません」
「ふむ。じゃあ早速で悪いんだがヨルムンガンドキャリーを8機出発させ現惑星系の詳細な情報を調べる。ナツメにはベース基地で探索のサポートをしてもらう」
「分かった。でもゆうと司令、惑星系の名前付けんと不便ちゃうか?」
確かに言われてみればそうだ。いつまでも“この惑星系”じゃあめんどくさい。
「んーでは今から我々が居る惑星系の名は“イグノトゥース”とする」
こうして俺達は情報収集を始めるのであった。
しばらくして、地球時間?で10日が過ぎた。その間にもアンドロイド達は情報を仕入れて来ている筈だ。後少しほどで第2回外世界系会議が始まる。
その間俺はというと、ワープ事故による被害状況や全艦隊配備状況など事務仕事を社畜の様にこなしていたりする。
「ふぃー。やっと終わった。やっぱりまとまった資源が確保出来ないと今後の活動に支障が出るなぁ」
俺は独り言を呟いていると、端末が鳴った
「聞こえてますかゆうと司令」
「聞こえているぞナツメ」
「惑星系の調査と5光年先のエリアの調査が終わったで。正直かなり驚きやったけど、それは会議で報告するから楽しみにまっときなー」
「ほう?では予定時刻より会議を始めると伝えてくれ。それと俺の方からも今回の調査に関わった全アンドロイド達に礼を言っといてくれ」
「へ!?それうちも?」
「ん?当たり前じゃないか。と言うか副官であるナツメには何時も世話になっている、感謝してるぞ」
「う…うん!こっちこそありがとな、ゆうと司令!」
「?。では会議楽しみしている」
そして運命の第2回が行われる
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