広大な森の中で
「ふっ!とぅ!」
辺りが明るくなると共に動き出した僕を、不思議な生き物達が襲い掛かってくる。
そして、また一匹仕留めた。
「これっ、完全にファンタジーだな。」
目の前には、ツチノコみたいな生き物。しかもデカイ。2mはある。
全く人気のない森を進みながら、持てそうな分だけの倒した獲物を持って移動していた。念のために
「ナビ。目の前の生き物を検索。」
細胞から検出したDNA情報を送る。
【検索中・・・・検索終了。該当する生物は確認出来ません。類似する情報なし。未確認生物と思われます。】
相変わらずの答え。
やっぱり、地球の生き物とは、全然違うんだな。
そんな事を繰り返しながら、宛もなく森の中を進んでいく。
まずは、安心して眠れる拠点を作る事を目指している。やすやすと変身を解けないのも身体が休まらない。
ただ、地球に居た時よりも疲れにくくなっている気がするし、技のキレもスピードも上がっている様な・・・
この短期間で変わるとは思わないし、重力だって、ナビ曰く地球と同じ程度らしいから理由が(ナビでも)分からない。
まぁ、悪い事ではないし、今は気にする事ではない。
ーーーーーー
そうこうしながら森を進む事数日、それは唐突に現れた。
明らかに人工的に作られたであろう柵が目の前にある。しかも木の状態から新しいと思う。
ファンタジーな流れから、コレって、アレでしょ。
でも友好的かどうかは分からない。そもそも都合よく言葉が通じるなんて、ファンタジーを越えてアニメだし。
取り敢えずは、木の上に登って様子を見る事にする。
柵は9~10m程の高さはあるし、辿って行くと門の様に出入り出来そうな場所も見付けた。轍の様なモノが続いている事からも知的生物が居るであろう事は、間違いないと思う。
だがしかし、誰も来ない。通らない。
何が起こるか分からないので、慎重にココで待つつもりだったが、ラチが明かない。
見廻りもないし、通行人もないから進展がない。
「こっちから動くか。」
独り呟くと木から降り、門の所へ向かった。
「見ているのだろう?出てきてくれ。話がしたい。」
門の前で大声で叫ぶ。
日本語が通じるとは思っていない。かと言って英語だろうとフランス語だろうと通じないだろう。
でも、こうやって叫ぶしかない。
暫くの静寂のあと、自分と同じ様に木から降り立つ人が、瞬く間に6人。
あっという間に囲まれた。
『@&#%*&#@%』
ここは、ラノベみたいに上手くは行かない。
何を言ってるのか、さっぱり分からない。
『&#∥%@*※&*#』
捲し立てる様に何かを言っている。
言葉に関しては、予想通り。むしろ、よかった。言葉らしき事を発しているのだから。
柵を作ったり、言葉でコミュニケーションを取る程度の知能があると分かったのだから。
ファンタジー世界の変身ヒーロー @koooum
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