地球外はファンタジー

生きていられただけで充分だと思い直した。

こんな所まで跳ばされたんだ。帰る方法もなくはないだろ。

クヨクヨ悩んでいても仕方ないので、森の中を歩いて行く。

地球と同じと思っていたが、木が大きい。

20~30mなんてもんじゃなく、50m以上。もっと大きな木も此処彼処に生えている。

何だか分からない気持ち悪い虫も巨大だ。1m近くはありそうだ。でも、襲いかかってくる事はなかった。

割りと平和な世界なのかもしれない。

それでも、ビクビクしながら進んでいくと


[パキッ]

木の枝ご折れた音が聞こえた。

一回だけではない。何度か続けて聞こえる。

これは何かが、動いているな。しかも近付いてきている。


「ちっ!」

身をよじり上体を反らすと、そこを茶色い陰が通りすぎる。

反射的に避ける事が出来たが、かなりのスピードだった。


「なんだ?」

通りすぎたモノを見ると敵意むき出しにしたウサギらしい動物がいる。

この生き物はウサギらしいビジュアルでも爪が長くて鋭い。そして、長い耳と耳の間に捻れた様な角が伸びている。

似たような生態系なんだろうか?細かい点は違うがウサギっぽい。

ウサギモドキは、角をコチラに向けて突っ込んでくる。やはり、鋭い動きで速い。

それを再び避ける。


「装着!」

相手が、その気なら迎え撃たなくてはな。


【承認。アーマーを転送します。転送完了。装着確認。】

一瞬の内に銀色の鎧を纏った様な姿に変わる。

問題なく変身も出来るみたいだ。


「ちっ!情け容赦なしだな。」

変身出来る事に安心感を覚えている暇はないみたいで、ウサギモドキは連続で突っ込んでくる。

こりゃあ、本格的にやるしかないか。


「ふっ!」

息を吐き、避けながら拳を突き出しウサギモドキを倒す。

それほど力を込めたつもりはなかったが、地面に落ちたウサギモドキは、もう動く事がない。


「ふぅ。認識を改めるか。いきなり襲いかかってきやがったし。危ないな。」

まだ安心出来ないから、変身は解かずに森を進む。

取り敢えず、ウサギモドキは耳を掴んで、プラプラと持っている。食料に出来そうな物がなければ、これを食べるしかないし。


歩けど歩けど森から出る事はなく、その反面、襲ってくる動物と言うか魔物と言うべきなのか、不思議な生き物が多数いた。

その全ては、変身していれば怪我を負う事もなかったけど、急に見た事ない生き物に襲われるのは恐怖でしかなかった。

結果的には、現状は40mはある木の上で休んでいる。

ロープで身体を固定しているので眠っても落ちる事はないだろう。

一先ずは、眠ることが出来そうだ。

辺りは真っ暗になり、動けなくなる前に眠りに着いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る