第1章 異世界での目覚め

どこだここ?

ゆっくりと目を開いたが、緑の隙間から差す光に目を細める。


「ココはどこだ?」

何が起きているのか分からない。

上半身をゆっくりと起こして周りを見渡すが、どこかの森の様だとしか分からない。

静かで、静かに木の葉が擦れ合う音が聞こえるだけ。

自分は、どうしてココにいるのか、何があったのか考えてみる。


「そうだ!津波!津波は、どうなった?街は?」

津波を打ち消す為に力をぶつけた事を思い出したが、光に包まれてからの記憶がない。

どうなったのだろう。

慌てて立ち上がると


「ナビ。ここは、どこだ?」

問い掛けるが、声は返ってこない。


「ナビ?どうした?」

本部がある辺りも被害が大きいのだろうか?

ナビも故障してしまっているのだろうか?

そんな事を考えていたが


【・・・ジジッ・・ジッ・・・ジジジッ・・・・】

ノイズが聞こえた。

これは、リアクションが返ってきたと思っていいのだろう。


「ナビ。応えろ。」

もう一度、呼び掛けた。


【・・ジジジッ・・座標確認。通信確保。シグナルブルーを確認しました。】

いつもの電子的な声が聴こえた。


「よかった。ナビ、そっちの被害は?」

まずは、被害状況の確認だ。


【人的被害は、およそ○○○○○○人が被災。

建物倒壊多数。ただし、津波による被害報告は、なされていません。揺れによる被災のみ。】

ナビからの声に安心した。どうやら、被害を少しは食い止められた様だ。

それなら、災害復旧へ僕も向かえばいい。沢山する事はあるけど、1人でも多くの人手が必要だろう。


「ナビ。そちらへ帰りたい。ここの座標を教えてくれ。」

ナビならば、ココが何処かは直ぐに分かるだろう。


【座標上は、x41.42 y141.26 z113.745地点であると思われます。

地球外である可能性は、98.78%です。】

ナビが何を言っているのか分からなかった。


「ナビ。何を言っている。もう一度、座標を調べ直せ。」

再度の座標確認を行わせる。


【再検索・・・・・完了。やはり、先ほどと同様の結果です。マスターの座標は地球外です。】

同じだと答えが返ってきた。

俄には信じられない。


【巨大な力のぶつかり合いから、そのストレス的な力場に耐えられなくなった空間に歪みが生じて、その歪みに飲み込まれた可能性があると思われます。

歪みは、ブラックホールとも呼べるモノであったと過程します。】

尋ねる前に回答を出してきた。難しい事は省いて、分かりやすくした結果の答えだろう。

ブラックホールの飲み込まれて、何処かの星に跳ばされたって事だな。


「地球から、どの程度の距離だ?」

他の星でも戻れる可能性は、あるからな。


【・・・・計算上は、直線距離で光速783兆年です。】

今の場所を月とか火星とか言わなかったんだ。

太陽系の外側だとは思ったけど、銀河系外みたいだな。実質、帰れそうもない。

でも、どうして、そんな距離でナビと通信が確立してるんだ?


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