第10話

「ただいま~」


「あら、帰ってきた。」


「あれ?涼葉は?」


「え?いるは・・・」


 ────涼葉が居ない。


「居ない・・・」


「どこ行ったの?」


「えっと・・・」


 激辛じゃないシュークリームを食べて・・・


 観覧車に乗って・・・


「会話がなくなったのは?」


「家の近くだよ。」


「それなら・・・」


「カズちゃん、行くよ!」


「その名前、久しぶりだな。」


 ────嬉しいけど。


「こっちだって恥ずかしいんだから言わないで。」


 ────恥ずかしいのかよ。


「はいはい。いいから行くぞ。」


 バタン────


「ようやく出ていったわね。」


「パティムネさん、和志達に手を出さないって約束して。」


「あら?涼葉ちゃん、そんなとこにいたの。」


「なぜ?」


「美郷と和志は両思いだから・・・」


 ────これが1番いい選択なんだ。


「私がいつ和志くんのことが好きと言いました?」


「あの行動は好きって意味じゃないの?」


「違います。なんであんな年下くんを好きにならなきゃいけないのですか。」


「なら、なんでいるのかしら?」


「あなたがたを連れ戻さなきゃいけないからでしょう!」


「いいわよ、居なくて。自分たちで帰るから。」


「絶対帰ってこないですよね?」


「えぇ、そうね。」


「ならばあと48時間は自由にします。その後は強制送還します。」


「なっ!」「あらまぁ。」


「それが飲めないならすぐに連れ戻しますよ?」


「・・・分かった。」


「・・・頑張って。」


 ────和志ママありがとう。


 ────ん?何を頑張れなんだ?


「涼葉ちゃん、和志のこと好きでしょ?」


 ────和志ママ知ってたんだ。


「いいから、行ってきなさい。」


「はい。」


 私は2人に謝りに行った。


 いや────


 ────想いを伝えに行く。



「いやぁ、見つからないなぁ。」


「どこに行ったのでしょうね。」


 ────これで家にいたとか言ったら覚えとけよ。


「とりあえず、分かれましょうか。」


「あぁ、そうだな。でも、連絡はどうするんだ?」


「無線くらい持ってきてるわよ。」


「はい。」と言って無線機を渡してきた。


「あ、ありがとう。」


 ────いまどき無線かよ。


「それじゃあ、後で。」


 やっぱりいない。あいつ、大丈夫かよ。


[こちら、美郷。]


[こちら、和志。どうした?以上。]


[キャラ崩壊していないでしょうか。以上。]


[しているわけないだろ?以上。]


[既にしているのでは?以上。]


[くだらないことにバッテリー使わない方がいいのでは?以上。]


[なら、早く見つけてください。以上。]


 ────分かったよ。


「和志。」


 ようやく、見つけた。


「涼葉、どこにいたんだ?」


「家。」


 ────こいつ、いい加減にしろよ?


[こちら、涼葉見つけました。以上]


 返信が無い。


[こちらパティムネ。美郷さんなら帰宅済みです。以上。]


 ────どうしようもないやつしかいないのかよ。


 そして1日が終わった。


 次回は登校編です♪

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