第9話

「あら~また死んじゃった。」


「ゲーム、上手ですね~」


 皮肉を込めてみた。


「そうねぇ~ありがとうねぇ~」


 流される。和志ママ恐るべし。


「美郷ちゃんは、ゲーム得意なの?」


「え?」


「得意なの?」って言われて得意とは言えない・・・


 つい、ゲーム部にいた時の癖が・・・!


「いや~そんなことないですよ~」


「なるほど・・・。」


 ────何がなるほどなの!?


「パティ・・・ムネ・・・さんでしたっけ?」


「あ、はい。合ってますよ。」


「何がなるほどなんですか?」


「美郷さん、ゲーム部で優勝経験者です。」


「あらまぁ~凄いじゃない!」


 ────あれ?意外と雰囲気悪くない。


 パティムネさんも印象が悪くなることを狙っていたらしい。


「いやぁ~参加する人が少ないので~」


「どのジャンルなの?」


「えっ?」


 ────FPSって言ってもわかるかな?


「ファーストパーソン・シューティングゲームです。」


「ふぁー・・・す・・・?」


「とぱーそんしゅーてぃんぐげーむです。」


「ぱーそんシューティング・・・?」


「ゲームです。」


「へぇー。で、なんなのそれ?」


「いま、彼女がやっているやつですね。」


 ────なんか違う気がするんだけど?


 テレビ画面をみるとそこにはちゃんとFPS特有の一人称視点になっていた。


「え?あれ?」


「あら~これなのねぇ~」


「え?あ、そうです。」


「どう操作するのかしら。」


「えっと、左スティックが移動です。」


「左スティックってなに?」


 ────そこからか。


「えっと、コントローラーを普通に持った時の手です。」


「これ?」


 ────ここまで違うなんて。


「違います。」


 ────パティムネさん!?


「これです。」


 ────ふたりして違う!


「ここです。ここ。」


「それなのね~」


 ────操作するまでに1日かかるかと思ったわ。


「そして、右スティックで視点操作です。」


「どれ?」


「これ。」


 ────これ、本人達に任せていたら一生出来ないやつだ。


 私はとりあえず何から教えればいいのか分からなくなった。


「あら、もうこんな時間。」


 針は既に6時を指していた。


「ご飯、作りましょうか。」


「私、お手伝いしますよ。」


 ────パティムネさんに先を越された。


「あら、ありがとうねぇ。」


「あら?そう言えば和志が居ないわね。」


「え?そんなわけ・・・」


 ────ホントだ。居ない。


「まぁしばらくしたら帰ってくるでしょ。」


「・・・そうですね。」


 ────何か引っかかる。


「まずはご飯作りましょう。」


「えぇ。」


 ────誰か足りない気がする。


「誰か、足りなくないですか?」


「気のせいでしょう?」


「そうですよね・・・。」


 ────本当に気のせいだよな?


「そういえば、涼葉ちゃんがいないわねぇ~」


 ────涼葉だ!


 ようやく引っかかりが無くなった。


「どこにいるのでしょうね?」


「さぁ、私には分からないからねぇ~」


 ────和志ママ、こうゆう人だった!


「とりあえず、探してきます!」


「いいえ、グローバル・ポジショニング・システムを見る限り帰ってきているようですよ?」


「グローバル・ポジショニングなんたらってなに?」


「GPSです。」


「普通に省略して言ってほしいな!」


「とりま、MSKKY」


「ごめん、何言ってるかわかんない。」


「もうすぐ帰ってくるって意味です。」


「略しすぎ!」


「あら、そうでございましたか。それでは、あなたが現在探しております和志君は私たちの知らないうちに家を出たあと・・・」


 割愛します。


「・・・そのため、もう少しで帰ってくるところです。」


「今度は長い!」


 ────なんなの?わざとのような顔してないってことは、天然なの!?


「もう少し、短くしてくれる?」


「その前に、お水をいただけないでしょうか。」


「はい、どうぞ~」


 ────和志ママ、凄い。


 ガチャッ────


「ただいま~」


 ようやく和志が帰ってきた。


 次は久しぶりの全員集合です♪

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