第6話

「はぁ~」


 ようやく座れた。


 なんだかんだ言って3時間近く立ちっぱなしだった。


「君まだ10代だよね?」


「お前は605歳と言いながら身体は10歳じゃないか。」


「う、うるさい!」


 ────相変わらずだなこいつは。


 涼葉は俺たちが子供の頃からそうだった。


 自分に不利なことを言われると、すぐに「うるさい」と言うのである。


 まぁ、「うるさい」が「う、うるさい!」に変わったから成長はしているのか。


「・・・とりあえず、今日はありがと。」


「お、おう・・・。」


 ドキッとした。涼葉にこんな感情は抱いたことは無かったのに。


「さーてと、次はどこに行こっか?」


 ────はい?まだ行くの?


「いや、お金が・・・」


「大丈夫。今度は私が奢るから。」


 ────なんだろう。嫌な予感がする。


「はい、これ。」


 普通のシュークリームだった。


 ────え?こいつそんなやつだったか?


 ────成長した?


「い、いただきます。」


 普通に美味し・・・


「辛っ!」


「デマソース入りよ!」


「それ、いたずらに使ったらダメなやつ!」


「何言ってんの?子供のいたずらにしちゃあ、甘い方でしょ?」


 ────いや、やばいほうだろ。


「辛いわけないでしょ?だって、売るためにデマソースって名前をつけてるんだから・・・「 」


「あっ・・・!」


 俺の食べかけのシュークリームを食べた。


「大丈夫じゃな・・・」


「か、辛い!」


 ────しばらく辛さで反省しろ。


 と思っている俺だった。


「ひー!痛い!」


「自業自得だな。」


 ────イタズラはこれでしなくなるだろう。


「はぁい、こぉれ。」


 まともに話せないようだ。


 今度はプチシューだった。


「・・・今度は、本物だよな?」


「うぉん。ほぉう。」


 めちゃくちゃうなづいて、1個を自分で食べた。


「いふぁい!」


 辛いものを食べたあとのものはいくら甘くても痛く感じるのである。


 ちなみに、辛いものを食べる時に水を飲むのは厳禁ですよ♪


 余計に辛くなるのでひたすら我慢です!


「・・・甘いヤツなのか?」


「あふぁいあえれしょ(当たり前でしょ)」


 ────なんか、ホントらしい。


「そ、そうか。」


 俺はプチシューを一口で食べた。


 それは────



 ────わさびのシュークリームだった。


「おー辛いな。」


「あんれ、ふううあお!?(なんで普通なの!?)」


「え?俺、辛いの大丈夫って言ってなかったっけ?」


 よくいるじゃん。馬鹿みたいな辛さのやつを普通に食べる人間。まぁ、俺もなんだけどさ。


「うあんあい(つまんない)」


「イタズラしないって誓いなさい。」


「あい(はい)」


 このあともしばらくまともに話せなくなる涼葉です♪


(次回、主人公が普通に話せた理由がはっきりします。)

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