第42話 ◆まさかの展開

◆まさかの展開


(このページはロシア人同士はロシア語の会話だと思ってください)



パァーーン


一発の銃声が操舵室に響き渡った。


がっ・・


イラルシュカさん!


ぐっ・・・アセーリャ・・いったいなんで・・・ 


あなたが余計なことをしようとするからよ。


なんですって。  あなたいったい・・・


そうよ! ラードゥシュカ、あたしは海賊と取引したの。


貴様、政府側の人間だろう!  どうしてこんなことを。


ほほほっ すべてはお金よ。 イラルシュカも分かるでしょ。  あなたもあたしも、懸命になって開発をしてきた。  なのに完成した途端に左遷ってなんなのよ!


だから、あたしは海賊に研究成果を売り渡すことにしたのよ。


そんなことは、あたしがさせない!


バァーン バァーン


アセーリャの拳銃が今度はラードゥシュカを狙って火を噴く。


だが、ラードゥシュカはつぐみ同様サイボーグだ。  普通の人間なら命中したであろう所、そのサイボーグ化した両足で目にも止まらぬ速さでかわして行く。


幾ら撃っても無駄よ!  



プシュッ プシュッ プシュッ 


あがっ


そんな・・ ばかな・・・  それは、OTs-38  消音機能付きリボルバー  なんでそんなものが・・・


リーシャ、まさかあなた・・・


そうだ、リーシャは、あたしの仲間さ。  彼女はシャークの女なんだよ!



まさかのこの展開に俺は声を失って立ち尽くしていた。


政府要人のアセーリャと歌手のリーシャが海賊に軍の機密を売り渡そうとしている。


それを物理学者のイラルシュカと通訳のラードゥシュカが止めようとして二人に撃たれ怪我をして目の前に倒れているのだ。



あ、あかね。  大至急医療ロボットを操舵室へ回してくれっ!


ラジャーデッス!



おっと、キャプテン桃島。 勝手なことをするとお前も二度と地球を見れないぞ!


くっ・・ 


いいか、そのまま壁際まで下がって両手を上げていろっ!


おいっAI!  残りのクルーの部屋を全てロックしろ!  決して開けるなよ!


あ、あかね。 リーシャに従え。 むしろその方がみんなは安全だ。


ふっ キャプテンはなかなか賢いじゃないか。



パン パン パン 


ギャッ


突然、銃声が響き、アセーリャが肩を押さえてうずくまる。


お、お前は・・ ナーシャ・・  なぜ・・



プシュッ プシュッ プシュッ


パン パン


ドォッ


今度は応戦に出たリーシャが腿を撃ち抜かれて、その場に倒れた。



ナーシャ・・ あなたなぜ?


イラルシュカ、遅くなってすまない。 あたしはナショナルスペースエージェンシーの特別捜査官だ。


アセーリャが海賊と接触したらしいとの情報があったので、密かに追跡をしていたのだ。



キャプテン桃島。  シャーク船長から返事の要求が来てますデッスよ!


しまった、時間が過ぎてるじゃねぇかよ。


え~と、何て言えばいいんだ?



キャプテン桃島。  あたしがナショナルスペースエージェンシーの艦隊に救援要請を出している。


おそらく、あと数分でこのエリアに到着するだろう。  そろそろ敵のレーダーにも反応があるはずだ。


ナーシャさん・・・  わかった。  あかね、そういうわけだ、デビルズアロー号につなげてくれ。


ラジャーッス!



シャーク船長、こちらRAG号のキャプテン桃島だ。


リーシャとアセーリャは、こちらが拘束した。  


ナショナルスペースエージェンシーの艦隊もまもなく到着する。


お前たちもおとなしく降伏しろ!



なんだと、それならば先に積荷を奪い取ってやるから首を洗って待っていろ!



まずいな。 あかね、対艦機雷を全て放出しろ。  そいつを弾幕の代わりにして直撃を防ぐ。


あと、射程内に入ったら対艦魚雷を5秒間隔で射出しろ。  レーザー砲はこっちの機雷に当たるから接近戦になるまでは使うな! 


ラジャーッス!


あとは、俺以外は全員、小型艇に乗り込んでRAG号から至急離れるように伝えてくれ!


小型艇は味方の船が見えたら直ぐに救助してもらえるように救難信号を最初から出しておくように。


ハイ、ハ~イ。


さあ、ここからが俺たちの勝負だぞ、あかね!


ドオォーーーン ・・・ ・・・


うわーーーーっ!



桃島の絶叫がRAG号に響き渡ったところで、次回へ続く・・・

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