第34話 ◆軍事機密

◆軍事機密


明日はいよいよ地球向けて出発である。


また、退屈な1年間の宇宙旅行が始まるのだ。  何しろ外は漆黒の宇宙空間で、景色が楽しめるわけでもない。


おまけに、持ち込んだゲームも既に片道1年で完全コンプリートしてしまった。


なので火星で新作を買おうと思っていたのだが、ロシア人の受け入れで忙しく、それも叶わなかった。


ほかのクルーたちは、それなりに自分が買いたかったものを手に入れて嬉しそうにしている。


まったくキャプテンとは辛いものだ。



今日は少々遅れ気味だった地球向けの積荷が届くので、それを積み込んだら帰還準備は完了だ。


RAG号の修理も終わっていて、来るときに使った対艦機雷や対艦魚雷も補充し、安全面も一応問題なしである。


あとは今日の午後のエンジンテストをクリアすれば、明日は定刻通りに出発できるだろう。



あかねーー。


はい、は~い。  キャプテン桃島、なんの用でござるか?


ござるって・・  今度は武士かよっ!


桃島、なんで、あかねのサービス精神が分かってもらえないデスか?


会話は面白くないといけないデスよ。


いや、別にそれは要らないから。


クハァーーーッ  ああっ、全面否定!


いや、お前少しウザイよ。  なにしゃべろうとしてたか忘れちまったじゃねぇか!


それは面目ないでござったな。


おっ、思い出した。 今日積み込む積荷なんだけど、中身はなんなんだ?


それは、秘密ござる。


ふざけんなよ。  俺はマジで聞いてるんだ。


だからでござるね。 軍事機密の荷物なんでござるよ。


軍事機密?  それは危険な物なのか?


拙者あかねも軍事機密としか聞いてないでござる。


なんでそんなものをRAG号に積まなきゃならねぇんだ?


なんでも、地球の開発チームに受け渡す期限に間に合わせるには、RAG号に積むしかないみたいなんでござるよ。


それで、その軍事機密の関係者が、アセーリャさんとイラルシュカさんとラードゥシュカさんなんでござる。


なんだ、そうだったのか。


はいでござる。


・・・  あかね、イラつくから武士言葉はもうやめろ!



それじゃ残りの二人は、偶然ロシア人なのか?   なんだっけ、歌手の人と良く分からない人。


リーシャさんとナーシャさんデスね?


その辺の情報は、特にありませんよ。


ふ~ん。 まっいいか。


・・・



午後から荷物の積み込みが始まったので、立ち合いのために第一倉庫に行くとアセーリャとイラルシュカの二人も来ていた。


ずいぶん大きい荷物ですね。


ハイ、キャプテン桃島。  このサイズのものがあと二つ届きまっすよー。


それじゃあ、この倉庫にぎりぎり収まるくらいですね。


そっデスねーー。  もっ一つのは、高さが心配でっすよーー。


高って、ここは15mはあるんですけど、そんなに大きいんですか?


ハイ、そデス。  


倉庫用リフトに乗せるときに倒れないかちょっと心配ですね。   


それなら、大丈夫デッス。 ラードゥシュカが対応しまっすからネ。


?? どういうことですか?


彼女は、サイボーグですから、力ありまっす。


そ、そうなんですか・・・  (なんだよ、つぐみみたいなのがもう一人って)


あっ、それでSPなんですか?


ふふっ まあ、そゆことかなー。


(あーー 地球に着くまでに、ロシア人とあかねの言葉で俺の脳みそがおかしくなってないか心配だぜ)



この後、RAG号は無事に荷物搬入とエンジンテストが終わり、いよいよ明日の出発を待つだけとなった。



次回へ続く・・・

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