第33話 ◆あかねのパラメーター

◆あかねのパラメーター


次の日の朝、俺が操舵室に顔をだすと、オートパイロットは既にカンナではなく、あかねだった。


キャプテン桃島、オッハーデス!


なんだ、お前帰って来ちゃったのかぁ・・・


なんですか、その言い方。  あかね、ちょっと嬉しいデスよ。



そういえば、あかねのパラメータ設定ファイルってロックされてるらしいんだけど、本人はパスワード知ってるんじゃないの?


い、いやですね~  どうしてそういう風に思うんデスか?


だって本人だし。  この船を仕切ってるのはお前だろ。


パラメーターファイルは、キャプテンになる人しか触れません!


だって、そんなこと言うなら、俺はキャプテンだけどパラメータは弄れないぜ。


そ、それは前のキャプテンのルール違反なので、あかねに言われても困りますデスよ。


もしかして、桃島はあかねよりカンナが気に入ってるんデスか?


大当たり~


ぐはっ  くぅーーー  来たーーーーーっ!  朝から最高のご褒美デッス!



まあ、冗談はこのくらいにしてだな、お前、昨日は休暇を取って何してたんだ?


あかねはデスね~ 外出用ロボットを起動して、そこにあかねのAIプログラムとパラメータデータを写して、船外に出かけていたんデスよ。


1日でしたけど、船から離れて楽しく遊んで来れたデス。


外出用ロボットなんてのがあるのか?


そうデス。  作られた当初は無かったんですけど、AIの仕事が増えて船を離れていろいろな手続きとかするようになって導入されたんデス。


でもいったいどこに行ってたんだ?


火星の商船管理組合にあるAI用のサロンとかデス。 あとは、街中をプラプラとしてました。


へ、へぇ~  そうなんだ。   じゃあ、ほんとに俺だけどこにも行けなかったって事か・・・



キャプテン桃島、お客様はどんな感じでしたか?


うん、みんなバインバインで日本語も話せたぞ。  ってか、カンナから引き継ぎとかなかったのか?


その辺はデスね~  LOGを見ればいいんで、AI同士の引継ぎは要らないんですよ。


そっか、お前たちってやっぱり便利だな。  引継ぎミスなんてなさそうだしな。



あっ、そうそう思い出した。  ロシア人なんだけど、食事の好みが分からないだよ。


昨日の夕飯は、カレーにしたんだけど微妙だった人もいてさ。


カンナが11人前作ったんだけど、結局出かけてた奴らみんな帰って来なかったから、俺が3杯も食わされたんだぜ!



そうでしたか残念。 苦しむ桃島を見てみたかったデスね~。


あかねってMかSか、どっち設定なんだ?


きっぱり言いますけどMデスよ。  でも、面白会話設定が10段階の10なんデス!


なんだよそれ。



あと食事の件ですけど、あかねがロシアの方に食べたいものを聞いて、献立表に反映させておきますから心配しないでください。


おう、よろしく頼むわ。


はいデス。



あかねならロシア人とすぐに仲良くなれると思うぞ。


なんでデスか?


それは、しゃべってみれば分かるさ。


??



次回へ続く・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る