第32話 ◆ロシア人は好っきですかーー?

◆ロシア人は好っきですかーー?


地球へ戻るRAG号に、ロシア人の客が乗り込むことになった。


なので、俺はいま乗員用のゲートに出迎えに来ている。


俺以外のクルーは、この1年間ほとんど活躍していないのに、5日間の火星をエンジョイしに出かけていて船に誰もいない。



キャプテン桃島、タラップを下しますよ。 


おう、カンナ君頼む。


RAG号の乗員用タラップは二つある。 ひとつは普通の階段式、もうひとつは大きな箱型で人がその中に乗るとリフトアップされるタイプだ。


箱型の方は比較的大きな荷物も一緒に船内まで運べてとても便利だ。


このあたりは古い宇宙船なのに良く出来ていると思う。


そしてその箱型タラップに乗って、ロシア人の女性5人がゆっくり上がって来た。




どうも、始めまして。  キャプテンの桃島です。


Приятно познакомиться.  Это капитан Момоджима. ←カンナ通訳



桃島さんデスか?  よっろしくおねがいネー。


あれ? みなさん日本語が話せるんですか。


ハイ、みんな少し話せマ~ス。


よかった。 でも分からない事は、この船のAIが対応してくれるのでそちらを利用してください。


わっかりました。 


それにしても、みなさんお美しいですね。


ホホホ


みんな ピチピチ デスよ。  桃島さん、ロシア人すっきデスかーーー?


ハハハ  好っきでっすよーー   (くそっ、なんだか あかねと話してるみたいでイラッとするぞ)



うっほん。 で、ではさっそくですが、みなさんのお部屋へご案内しますので、あのポーターロボットについて行ってください。


は~い。  ありがっとネ。


では、また夕食の時にご案内に伺います。



ふぅ~ でもロシア人女性が日本語話せてよかったーー。  これで帰りの一年間、少しだけ気が楽になったわ。



キャプテン桃島。  夕食のメニューでご相談なんですが・・・


カンナ君だっけ、俺そこまでやらなきゃいけないの?


すみません。 あかねから指示を受けていないので、このままですとお客様も同じものになりますけど・・・


別に構わないだろ。  外国人も寿司とか天ぷらとか食べるじゃん。


でも、今日のメニューには納豆が・・・


なっとうか・・  それは冒険だな。   う~ん、初日からクレーム処理も嫌だしなぁ。


なにか代わりに用意できるものがあるの?


冷凍食品が大半ですので、なんでもお出し出来ますけど。


そう言われても俺も、そういうの苦手なんだよなぁ。  そうだ、カレーにしろ!  あれなら嫌いな奴はいないだろ。


わかりました。 もともと寒い国の人だから遺伝子的にも辛い方が好きでしょうかね?


う~ん  分からんわ。  真ん中にしとけばいいんじゃね?


はい♪  中辛11人前ですね♪



カンナ君。 楽しそうで、たいへん結構。



カレーが食べたくなったので、次回へ続く・・・

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