第24話 ◆サイボーグつぐみの大暴走  その1

◆サイボーグつぐみの大暴走  その1



ウラヌス号がRAG号の後方に入ったのを確認すると あかねが短く声を発した。


戦闘開始デッス!


操舵室のクルー全員に緊張が走る。



バシュッ  バシュッ  バシュッ


RAG号から対艦機雷が次々に宇宙空間へ放出されていく。


いま、発射されているのは超小型かつ高性能タイプで、たんに空間に漂っているだけでなく味方の識別を自ら行い、敵であれば自動で目標に体当たりする。


今回はウラヌス号が戦闘体勢に入ると敵が警戒するため、あえてRAG号が単独で攻撃を開始したのだ。


狙い通り、機雷を発射して10秒もしないうちに、あちこちで大爆発が起きる。



やりました。 敵艦のうち3隻が大破、4隻が中破デ~ス。


敵艦も回避行動に移ったため、これから対艦魚雷を発射します  念のためレーザー砲もスタンバイしました。


おおっ、奇襲作戦は上手くいったのか!


キャプテン。 まだ、喜ぶのは早いデスよ。


残っている敵艦は、超大型のヤツばかりです。



あっ、ウラヌス艦が本船と距離を取り始めました。  敵艦を引き付けながら応戦しています。


対艦魚雷2発が敵艦に命中デス!


やった!


いや、ちょっと待ってください。  敵のシールドで損傷は与えられなかった模様デス。


くっ さすがにそこまで甘くないか。



あかね、もう一度対艦機雷を投入しろ!


ダメです。  いま射出したらウラヌス艦にも当たってしまいます。


クソッ  どうすれば・・・



ドォーーーン


ガタガタガタッ


キャーーッ


報告デス!  第三倉庫付近に被弾、現在消火および被害状況を確認中デス。



えーーーーっ


たいへん、あたしのお菓子がーーーーっ!


おい、佐々木。 待てっ!  危ないから行っちゃいかん!  誰か佐々木を止めてくれっ!


あたしが行きます。  一条が佐々木を追って操舵室から飛び出していった。



ドォーーン


ガガガッ


激しい揺れが起こると同時に、船内の照明が落ちて一瞬真っ暗闇になる。


直ぐに非常用電源に切り替わるが、船内の照明は照度が落ちて薄暗い。



右後方エンジンルームに被弾、第二装甲板まで破損。 なお、第二装甲板の損傷は軽微のため、穴を塞ぐ処置をロボットに指示しました。


この状況は、かなりまずいな!


あかね、クルー全員に宇宙服の着用を伝えてくれ!


了解ッス!


船の第三装甲板が破られると船内の空気が真空の宇宙空間へ吸い出されてしまう。


もちろんその状況は、クルーの死に即つながるのだ。


あらかじめ、宇宙服を着用することで最悪の状況になっても1時間は生存が可能となる。


この限られた時間内で脱出用小型艇かEscape podで脱出を試みるか、船内修理活動を行うのだ。



だが、俺はアホの佐々木の行動を読み切れなかった。


あかねの宇宙服着用の連絡をRAG号が大破したと勘違いした佐々木が、小型艇で脱出をはかったのだ。


むろん脱出用を主眼に開発されているため、オ-トパイロットで操縦技術は不要だが、操縦桿もついている。



あかね、小型艇に連絡して佐々木にRAG号へ戻るように言え!


キャプテンたいへんデス!


どうした!


小型艇が・・・  敵の海賊船に向かって真っすぐに飛んで行きます!


なんだって?  どこまでアホなんだ、あいつは!


ウラヌス艦のバカ兄貴に、可能なら救助しろと伝えてくれ!


ドォーーン


バキバキッ


うわーーーっ



次回へ続く・・・

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