第21話 ◆停船命令

◆停船命令


桃島、昨日は医務室で女子と何をしていたんだ?


さ、猿渡君なぜそれを?


いや~ 女子と医務室で5時間以上も籠ってたら、そりゃ気になるわな。


ふむ、実はな・・オセロ大会をやってたんだよ!


いやいや、じゃあなんで佐々木は大慌てで、しかも鬼の形相で医務室から飛び出して来たんだ?


お前達、何かしてたんだろ?


バカなことを言ってんじゃねえ。  オセロだって言っただろ!


ふ~ん  まっ、いいわ。  あとで一条にでも聞いてみるから。


ちっ、まずいな。  先に佐々木と一条に根回ししておくか。


それにしてもオペ時間があんなにかかるとは思ってもみなかったな。  ちょっとリスク管理があまかったか。



そんなことを考えていると・・・


キャプテン、キャプテン、応答願いますデ~ス。


なんだ、あかね。 お前いい加減、普通にしゃべれよ。


ほんでは普通に。 ナショナルスペースエージェンシーの戦艦が4時方向から急接近してきやがるデスよ。


それが普通か!


的確な突っ込みをありがとうデッス!


それより、そんな状況なら先方から何か言って来てるだろ?


ハイ。  それがですね~  なぜかあっちの船の主砲がRAG号に照準を合わせていて、停船命令を3回ほど・・・


なんだって、そう言う事は早く言え!  


でもですね、厳格に言えば軍艦が民間船に停船命令は出せないんデスよ。  彼らに捜査権はないですし、今は戦争中でもありませんから。


いや、停船命令を無視していると撃って来るかもしれんだろ!


あっ、さすがキャプテン。  いま撃ってきました。


バカヤローー!  緊急回避だっ!



5秒後に第一弾が来ます!


うわーーーっ


大丈夫ですよ。  例え命中しても ぶっ飛ぶのは第一装甲板までデス。  あたしは結構できる子なんデス。


わかった、わかったから、念のため全てのドアを閉鎖してロックしろ!


アイアイサー


ドドォーーーン


直撃は免れたが、近くの空間を通り過ぎた衝撃波で船が揺れる。


くそっ!  相手の艦の通信チャネルに合わせられるか?


はいは~い。  幾通りか試してみます。




繋がりましたデスよ~。  チャネルオンッ!


こちらは、ナショナルスペースエージェンシー所属艦のウラヌスの艦長である。


貴船の即刻の停船を申し入れる。



こちらRAG号のキャプテン、桃島だ。


こちらは民間企業の商船であり、火星に物資を搬送中だ。


特に貴艦から停船指示を受ける筋合いはない。



停船理由は、貴船と海賊船との先の交戦の件についてである。  停船拒否を続けるなら、今度は威嚇射撃では済まないぞ。



なんだ、さっき被弾しなかったのは威嚇射撃だったからか・・


おい、あかね。  俺はどうしたらいい?


そうですね。 速度は段違いなんで絶対逃げ切れません。


その状況で砲撃を受けた場合、あかねの計算では20分で間違いなくあの世行きです。


そうか・・  仕方がない停船する旨を、ウラヌスの艦長に伝えてくれ。


了解ッス!


5分後、ウラヌスがRAG号に横づけされる。


でかいな・・


戦艦ウラヌスは、RAG号の10倍ほどの大きさがある。


やがてドッキングされたドアが開き、数名の下士官を伴ってウラヌスの艦長が乗り込んで来た。



次回へ続く・・・

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