第18話 ◆緊急オペ
◆緊急オペ
俺はいま、佐々木つぐみと向かい合って座っている。
佐々木君、よく考えてから返事をして欲しい。
今の状態で君がRAG号の船内を歩き回るのは被害が拡大し、たいへん望ましくない事態となるのが目に見えている。
な、なによ、人の事大型台風みたいに言って!
だから、RAG号の現在使われていない第三倉庫に監禁されるか、コントローラーの微調整を受けるかのどちらかを選んでくれ。
桃島さん、それってどっちを選んでもひどくないですか?
いや、監禁と言っても鍵をかけるわけでは無くて、佐々木の行動範囲を第三倉庫内とトイレ、シャワールームに制限するだけだけどな。
そんなぁ・・・ それで残り半年を倉庫で暮らせと言うの? まるで鼠みたいじゃない。 桃島さんは、それで心が痛まないの!
それじゃあ、一条にコントローラーの微調整をやってもらうか?
・・・ それは、恥ずかし過ぎるし、なにしろ未経験者の一条さんの調整が成功するか分からないでしょ。
まあ、即答しろとは言わないから、よく考えて返事をくれるか?
・・・ わかりました。
佐々木は肩をガックリ落とすと、操舵室から出て行った。
バリバリッ メリリッ
あーーー またドアがーーー!
(捕捉:RAG号の各部屋の出入り口は、潜水艦のドアのようなハッチ式となっている。 決してエンタープライズ号みたいな自動ドアではありません)
キャプテン、キャプテン。 聞こえてますかぁ?
ん? なんだ、あかね?
今のうちに言っておきますけど、キャプテンの報酬は修理費の所為でだいぶ減ってますよ。
おいおい、俺が悪いんじゃないだろ。 修理費は壊したやつに請求しろよ。
でもでも、あたしが見た契約書は、船および備品類の損傷は責任者が負担するという記載がありますデスよ。
くそったれ! そんなものは、削除しておけ!
ああっ、こんどは罵倒系の命令っ・・ くはぁーーっ
相変わらずの変態っぷりだな、あかね。
次は言葉責めっ!
あ゛ーーー もう俺おかしくなりそうだ!
・・・
次の日の午後、佐々木がノロノロと俺のところまでやって来た。
桃島さん、聞いてください。 今日は、まだ何も壊していませんよ。
佐々木君よ、それが普通なんだけどな。
それで、昨日の返事なんですけど・・・
おぅ、決まったのか?
え~と 一応ですけど。
ふむ、それで?
コントローラーの調整でお願いします。
そうか。 で、理由はなんだ?
持ってきたお菓子を食べようとすると、みんな木端微塵になってしまうので・・・
なんだ、ダイエットできていいじゃないか。 現に少し痩せたように見えるけどな。
ひどい・・ 桃島さんってやっぱり ドS だったんですね。
本当にいいのか?
ええ、昨日、火星医療サポートセンターに連絡して、マニュアルと動画サンプルを送ってもらいましたから。
いま、それを一条さんに見てもらっています。
そうか。 上手くいくといいな。
はい。
しかし、この後、意外なことから俺は窮地に立たされるのだった。
次回へ続く・・・
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