第17話 ◆恐れていたこと

◆恐れていたこと


バキバキッ


きゃーー


おいおい、佐々木君。  またやらかしたのか?


ごめんなさい、 ごめんなさい。


謝ったって修理代は報酬から差し引いておくからな!


え~ん  どうしてこうなっちゃたの~



事件は、2日前に遡る。


バキッ


やだ、歯ブラシが折れちゃった。 



ガチャーン


お茶碗を握りつぶしちゃった。



バアーーン


もうやだ・・・  ドアごと外れちゃった。


佐々木が通ったあとは、全てが破壊されているという悲惨な状態になってしまう事態が勃発していた。


それは、もう壊す、壊す。  そのあまりの惨状に俺は頭を抱えた。



グシャッ


きゃーー


おい、今度はいったい何を壊した!


グスッ  だってちょっと触るとみんな直ぐに壊れて・・どうしよう・・


ああっ! だから、あれほど船の計器類には絶対触れるなっていったじゃないか。


いったいどうするんだこれ!



も、桃島さん、修理が間に合いません!  佐々木さんを拘束してください。


一条君、拘束って・・・


桃島、ぜひ俺に佐々木を拘束させてくれ!


いや、猿渡、おまえが言うと卑猥に聞こえるわ。


いやーーーっ  あたしに近づかないでーーー


まあ、佐々木君、そこに座りたまえ!


嫌です!


別に拘束なんかしないから。


ほんとうですか?


ああ、ほんとうだ。 俺を信用したまえ。



佐々木は、少し落ち着いてきたのか、黙って俺がゆび指した椅子に腰を下ろした。


実は君について、少し調べさせてもらったんだが、君はサイボーグなんだね?  ←実はとっくに知っている


佐々木は、コクンと小さく頷く。


でだ、俺が推測したところによると、サイボーグ化した部分に不具合が生じている。


どうだろう、間違ってるかな?



いえ・・ たぶん桃島さんの言う通りだと思います。


ほぉ・・ で、こんな場合は、どうすればいいのかな?


コントロールボックスの調節ダイヤルで微調整を行うか、中の基盤を丸ごと交換する必要があります。


代替用の基板は持っているのかい?


念のため持って来てはいますが、もし交換するとしても火星まで行って、それなりの技術者に対応してもらわなければならないわ。


ちっ それでは、微調整しか手はないって事か・・・  それは自分で出来るのか?


いいえ、コントローラーは、あたしの手が届かないところというか、目が届かないところにあるので実質無理です。


う~ん、困ったな。


なあ・・


嫌です!


なんだ、俺はまだ何も言ってないぞ!


言われなくとも、何となく想像が出来ますから。


なあ、微調整は一条君にお願いしたら出来ると思うかい?


言い直していただいても無理です。


ほんとうに?  このままだと猿渡に拘束してもらわにゃならないぞ!


あぅぅ・・・  それだけは、勘弁してください。


では、どうせいと?  ←桃島はどうするのと言っている



シク シク シク


佐々木君、言葉でシクシク言っても女の涙にはならないからね。


だって、だって 桃島さんはコントローラーがどこに付いているか知ってるんですか!


いや、興味ねえし!


足の付け根の内側よっ!


なんでだって?


いやーーーっ!



これは、ほんとうに困ったな・・・



次回へ続く・・・

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