第12話 ◆宇宙海賊発見!
◆宇宙海賊発見!
地球を出てから一か月は、何事も起こらず退屈な日々が過ぎて行った。
佐々木つぐみは順調に丸くなり始め、一条マリエは雑誌の部品を組み立て続けて早くも3シリーズを完成させていた。
あかねはというと、俺の言い付けを守り静かにしていたので正直助かった。
そして、今日もそんな日が続くと思っていた矢先に、突然船内に警報が鳴り響いた。
キャプテンに報告デス。 座標X2308、Y5677、Z-9543方向に国籍登録不明艦を発見しちゃったデス。
なんだよ。 座標で言われたって素人にはわかんねえよ!
それじゃあ、三次元球体レーダーをオンにしま~す。
船体識別用の電波を出していないから、ほぼ海賊船に間違いないデス!
キャプテン、戦闘態勢に入りますか?
あかね、最短接触時間を教えてくれ!
お互い現在の速度だと138秒後です。
全速力で戦闘回避できないのか?
やだなぁ・・・ あかねは超旧型機ですよ。 速度なんて段違いなんで、100%追いつかれちゃいます。
仕方がない、戦闘準備。 射程に入り次第、宣戦布告。 同時にレーザー砲を一斉射撃。
ついでに対艦魚雷を3発発射しろ!
ラジャーーッス!
全員、防護服を着て所定配置につけ! 席に着いたら衝撃に備えて、座席のロックをオンにしろ。
桃島さん、だから絶対に嫌だっていったんですよ。 お嫁に行く前に死んだらどう責任取ってくれるんですか?
オイオイ、佐々木。 お前が言うか? この仕事はお前が受注したんだぞ!
ふぇ~ん
キャプテン、あたし機関室で待機した方がいいでしょうか? 一条マリエが青白い顔をして聞いて来る。
いや、機体が損傷した時点で、降伏するから行かなくてもいい!
降伏後は、全員脱出用の小型艇で地球に向かう。 いいな!
キャプテン! あと15秒後に戦闘開始デス!
わかった! みんな衝撃に備えろ!
5、4、3、2、1・・・
ドドォーーーーン
ガガーーン
初めて経験する宇宙戦の激しさに全員が顔色を失う。
それにしても、こんなポンコツ宇宙船まで襲ってくるとは・・・
ドォーーン
おい、あかね。 被害状況は逐次報告しろ!
イーーーッ イヤッホーー 楽しいデス! 楽しいデスよーーー!
桃島が持ち込んだシューティングゲームなんかより、よっぽど楽しいッス!
おい、あかね。 お前、これはゲームとちゃうぞ! マジメにやれ!
大丈夫ッス! いまのところ勝率は90%以上デス!
ガガガッ
ガタガタガタ
ドォーーン
船が激しく揺れ動く。
オイオイ、ほんとうに大丈夫なのか?
ふふふ 大丈夫デスよ! あかねは試作機だったので、なんと装甲が同型機の三倍もあるんデース!
でも、そのせいで燃費が悪くて、あまり使われなかったんデスけどね。
グスッ なんか思い出したくない過去を思い出してしまったデス。
あっ、あと30秒で勝負がつきますよー
ドガーーーンッ
ひときわ大きな爆発音が聞こえた後に砲撃音がピタリと止んだ。
キャプテン、敵艦を撃破しましたーー あかねを褒めてくださいデス。
あかね、スクリーンに映せるか?
できますよー。
ブンッ
大型スクリーンに見事にボロボロになった宇宙船が映し出される。
この有り様では生存者はいないか・・・
心配は無用デス。 乗員の生態反応はありません。
おいおい、全員死んだのか?
いやですねー。 乗組員は、みんなロボットデスよ!
えーーーっ、 それなら俺たちだってロボットでよくないか?
チッチッチッ 桃島たちは、人間の仕事がなくなると困るからこの船に乗ったんデスよね。
あっ、そうだった。
でも、なんだか海賊たちの方が頭がいい気がするのは俺の気の所為だろうか?
次回へ続く・・・
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