第9話 ◆プロジェクト会議 第二回

◆プロジェクト会議 第二回


今日は朝からプロジェクト会議だ。


それにしても例の菓子の効果なのか、それとも先日みんなが忙しいから、俺のプロジェクトには参画できないと言ってたのが嘘なのか、全員が遅れもせずに定位置に座っている。



海賊対策として、レーザー砲を前後左右に一門ずつ、対艦魚雷および対艦機雷も必要かと思います。


う~ん。 猿渡、それだと少々予算をオーバーするかも知れんぞ。


そうなったら、報酬から支払うことなるけどいいのか?


でも、我々の命の方が大事ですよね?  猿渡の確認にメンバーが頷く。


最新鋭の船なら三層装甲に電磁バリアが付いてますけどね。  横から一条が口を出す。


この案件は、佐々木つぐみ君が格安条件で受注したから、予算が非常に厳しい。


加えてエンジニアの一条マリエさんの専属契約が必要になったので、そんなに贅沢は出来ない。


あとは、積み込む食料を減らすとかしか対策が見当たらないぞ。  それでもいいか?


そんな・・・  腹が減っては戦ができぬです。


ん? 今なんか言ったかね? 佐々木君。


いえ・・ べつに・・・



それでは3日後に出発するので、他に必要な物があれば各自書き出しておいてくれ。


個人的に必要だという物は、当然個人負担だ。  


あとは役割分担として、食料調達は佐々木と一条、積荷の搬入とチェックは猿渡と雉田、俺と犬居は船の点検とする。


では、ひとまず解散!



やれやれ、これで何とか出発できそうだな。 


さてとそれじゃ、点検用のチェックリストを作っておくか。


点検といっても、全てAIが自動で行うのだが、あかねはどうも信用できんのだ。


特に後付けするレーザー砲の動作確認は、命にかかわるので慎重に行っておきたい。


最近では宇宙海賊の装備も格段によくなって来ていて、ナショナルスペースエージェンシーの戦艦でさえ苦戦している。


俺としては、ただただ海賊と遭遇しないことを祈るばかりだ。



チェックリストの作成がやっと終わると、もう昼になっていた。


俺は会社の福利厚生で支給されるチープな弁当を持って、駐機場へ向かった。


まずは昨日指示したとおり、あかねが倉庫の片づけと清掃を済ませていることを確認しに行くのだ。


荷物や食材の積み込みは午後から少しずつ始まる。 その辺の指示もあかねにしておかねばならない。



あかね、タラップを下してくれ!


ガーーーッ  横幅2mの銀色のタラップがゆっくり下りて来る。


タラップを上り、そのまま荷室倉庫へ入って行くと指示通り、綺麗に片付いていた。


倉庫内は碁盤目状に白いラインが引かれていて、それぞれの区画に番号が付いている。


これは、積荷を置いた場所を管理するのに役立つのだ。


同じように小さな物を保管する棚にも番号が付けられている。


荷室倉庫の運搬用ロボットはいろいろな形体があり、形状や重さによって最適なロボットが対応する。



あかね、午後から荷物の搬入が始まる。 今日搬入されるものは、佐々木からメールが届くので確認して対応してくれ。


何か問題が出たら必ず俺と残りのメンバー全員に連絡してくれ。


はい、は~い。  かしこまりました、ご主人様~♪


じゃ、あとはよろしく頼む。


あっ、待ってください。


なんだ?


大気圏専用エンジンの燃料が残り3分の1なんですけど、補充しておいた方がよくないですか?


解体屋のおやじめ!  燃料満タンサービスじゃなかったのかよ!


それで今ある分で、どのくらい飛べるんだ?


大気圏離脱が3回分デス。


それじゃあ、3分の2まで入れておいてくれ。


ラジャー デス。


あかね・・・おまえ、会話めちゃくちゃだな。


さてと、飯にするか。  俺はチープな支給弁当の蓋を開ける。


中身がチープな割りに、蓋がきつくて中々開かず、イライラする。


グヌヌー


パカッ


あっ、海苔しゃけ弁だ。



次回へ続く・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る