第7話 加代子

加代さんは 小さな可愛い手で俺の手を握り 顔を俺の肩にのせた

そしてあくびをすると すやすやと眠ってしまった

俺は 加代さんの小さな手を見つめて そっと握り返した

やがて電車が発進すると 加代さんは 一瞬だけ目を開け 再び俺に寄り添うように眠りについた 電車は 混んでいた カップルが多い やがて板橋駅に着く ほんの僅かな間に加代さんを起こした 


『もう着いたの?』

「うん」

『何だかとても気持ち良かった 寄り添える相手なんて 今までいなかったから』

「そう 着いたよ」

二人は 駅の改札口をでると 加代さんの自転車置き場まで行った

『秀 私を抱いてくれる?』

「ぁ いいよ」

『じゃぁ 二人乗りで行こう』

少し風が吹いて寒いが 加代さんが俺を後部座席から抱きしめてくれる

もうこの時 可憐さんのことは どうでもよくなっていた

加代さんのアパートに着いた ガッチャと鈍い音を立てながら 加代さんは 室内に入った

そして俺を手招きする もう後には戻れないと思った


二人は ドアを閉めると同時に抱き合い キスを交わした

加代さんの舌が いつものように俺の舌に絡まる お酒臭かった

やがて加代さんは お風呂を沸かすと 俺の服を脱がし始めた 加代さんも脱いだ 

二人は 浴槽に浸かると お湯がざぱ~っとこぼれていく

加代さんは 小ぶりな胸だが 形がすごくいい

俺も加代さんも シャワーを浴び 浴槽をでてバスタオルでふきあい ベットになだれ込んだ

互いにキスを交わしながら 愛撫し合う


感じる 加代さんの小さな吐息が漏れる


『ぁ・・』


やがて 俺は 加代さんの中に 埋もれていった

二人 空を舞う蝶ちょのように ひらひらと

快楽が俺を襲う

加代さんの手が 俺の背中を抱きしめる

やがて二人は 夢心地になった


そして二人は またビールを飲んだ


後悔は無い


『秀 ありがとう』

「うん 俺帰るね」

『うん 気をつけて』


夜風が心地良かった


童貞を捨てて以来 ひさびさの女性との関係だった

家に帰ると 俺は そそくさと自分の部屋に篭った

携帯にメールが入る


『おやすみ 秀』 加代さんからだった


俺は ベットに蠢くように入ると そのまま眠ってしまった

窓の外には 妖艶な13番目の月が 俺を照らす

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