第13話 登校
学校へ向かう路線バスの中考えてた。
私のあの夢、あれはやっぱり予知夢なのか?
だとしたら怖い。
1番目はただ知らない人が出てきた普通の夢で、
2番目のは会いたい気持ちが直子の行動を想像させたんだ、と思い込もうとしてた。
でも3番目では夢とニュース内容、目撃者の話と一致するので言い訳が効かない。
ヤマダ電機にロボットが出現した場面、
私は、ニュースで流れた映像には無いものを見た。
「黒い靄が大きくなり、その中からロボットは出てきた。
まずゆっくり右腕が出て
右肩が見えたら後は素早く頭部が出て右足が続くが、
足の着地の前に右肩がヤマダ電機ビルの側面に激突、
ビルにめり込んだ肩で重心を取りつつ両膝がコンクリートに降り立つ。」
そんな書き込みをネット上で見た、私の予知夢と同じ。
東口に居た何人かはこれを見てた様だ。
でもサラリーマンの身体から染み出た黒い靄が東口に残り、
ヤマダ電機前で大きく拡がって、
その黒い靄の中からロボットが出てきた…。
この事を知ってるのは私だけみたい。
教室に着いて鞄を開け、中に入ってるCDを見た。
今日も自分で持って帰るのかな、と思いつつ持ってきてた。
でも直子は学校に来た。
勢い良く直子が教室に入って来た。机に無造作に鞄を置く。隣の席の子が少し迷惑そうに直子の鞄を見た。
空いたままのドアから続いて一時間目の先生が入って来た。
きっと直子は廊下の先に居た先生を走って追い抜いて入って来たんだろう、と想像した。
一連の夢が予知夢だと確実になってから、直子に繋ぐのを意識的に避けてた。
覗くみたいで申し訳ない。
次の授業は教室を移動した。
その移動中に廊下で声をかけてみた。
歩く後ろ姿が全てを拒む様な気がしたが勇気を振り絞った。
「直子!」
不思議そうな目をして立ち止まった。
下を向いて会釈をして歩きだした。さっきより少し早足になった。
「こないだの土曜日の夜、遊んだの覚えてる?」
何も答えてくれない。
短いスカートから伸びた腿がまぶしい。やや肉がついてて健康的で可愛い。
少し引っ掻いた様な傷が見えた。
傾斜のある林の事を思い出した。
「あの日凄く楽しかったね」
学校では一応アイスナインの名を出さない様にした。
直子は下を向いたまま口を開き「授業始まるから」と教室に入って行った。
戸惑い、ショック、悲しみが入り乱れ、
学校では名字で読んだ方が良かったのか、
アイスナインの話事態がタブーだったのか、
今のやり取りの全てを後悔した。
そうだ…。
学校ではいつも直子は一人で、
休み時間も人を避ける様にいなくなって、
誰とも喋ってる印象が無い。
つまりアイスナインでの直子が特別だったんだ。
「もうあの時みたいに話せないのかなあ」
右腕に、右手の平に直子の両手の温もりが残ってる。
ネウロンボーグ スワスチカ @swastika
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ネウロンボーグの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます