第11話 呪いの回路
「お爺さんもウラン掘らされてたの?」
「ウランも掘ったが、こいつを埋めるのもやらされた」
スコップを持ってるのは直子だ。盛り土から土をすくってロボットにかけてる。
たくさんの汗で髪も濡れてる。
「ロボットは他にもあるのかな」
直子が聞くとお爺さんはその手からスコップを受け取って
「さあ...あるかも知れんなあ」と答え、ロボットに土をかけた。
直子達が消えた。
授業が終わってた。今度は皆とタイミング合わせて礼をした。
ホームルームで中断されてる間、放課後どうするか考えた。
30分かけて家に戻るならば長い間直子と繋がらず話が飲み込めなくなるかも知れない。
教室出たら早足で図書室に陣取った。
「二号研究進めとった西名博士が『ウランは爆弾には難しいが動力源にならできそう』言って誉田博士がその理論をアレに使ってな
そのお陰でコード繋いで研究室ではなんとか動いた。
コード無しで動かさんと戦争で使えんと東條さんが怒って
けども無線で動かす為の回路がうまく行かんかった。
それで今で言う「気」を使って操作する理論を迫田くんて若い博士が考え出して
当時は「呪いの回路」って言ってたけどな」
直子はお爺さんの後を付いて傾斜を下る。
お爺さんはゆっくりだが動きに無駄がない。
木から木に飛び移る直子の方が危なっかしい。
「ニューロンがどうとか、受動する意識がどうとか、
わしにはさっぱり分からん事を年中やっとった」
「そんなこんなしてる頃に終戦。
わしは埋めるの手伝ってから毎日の様にアレを見に来とる」
道路に出た。
お爺さんは道路渡った所にある自動販売機で飲み物を二本買って一本を直子に渡す。
肩で息をしてお礼を言う直子。
「呪いの回路が完成したら動いてたんだね」
「埋めとる時兵隊は、『折角完成して動いたのに』と泣いとったが
動いたとしても使いもんになったのかどうか」
直子はロボットの事を口止めをされた。
不発弾みたいに暴走したら確かに危ない。
しかも動力源にウランを使ってると言う事は小型の原子炉と同じ?
ちょっと怖くなった。
あと気になった事がある。
直子も同じ事を気にしたみたいで
「誰が掘り起こしたんだろうね」と言った。
直子がお爺さんに手を振ったのを見て、私は鞄を持って図書室を出た。
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