第8話 神から見放された僕たちは

 雨だ。この世界でも雨が降るのだと安心する。本当なら雨とは悲しみの象徴のようなものであるはずなのに。

 

 「ねえ……、ちょっといい?」


姉の心は家に戻った時には正常に戻っていた。

 

 「うん」

 「あのさ、あたしこの世界でしばらく暮らしてたから感情が聞こえてきてて、翔太はそれを使えなかった、んだと思うんだけど……、実はもう聞こえないんだよね」

 

 あの厄介な能力が使えなくなったとの報告は、僕にとって朗報だった。

 しかしなぜ使えなくなったのだろうか?

 

 「なんでだろう?」


 姉ももちろん知らない。


でも何となく予想はついていた。たぶん姉も。信じたくはないけれど……。


 「鏡盧紀、あの男の仕業じゃないかな?」


 姉は首を縦に振る。

 世界のルールを変えるなんてじゃないか。

 無理だ。僕たちに平穏は訪れない。この世界の神はあの男だ。あの男が、神が敵なんて勝てっこない。この世界は神によって遊ばれている。決してこの世界に生きる者達に感情移入などしていない。いわばここは、〝神に見放された世界〟だ。


 


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エンドレスザエンド 変太郎 @uchu

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