第7話 この世界

僕、鏡盧紀かがみろきは、11年前に死んだ。

その時は0才。

まだ良くも悪くも無知で、両親には無事に生まれたという喜びしか与えておらず、全く迷惑をかけていなかった。

そして何も知らない僕は亡霊となって生きた。でもその直後何も知らないままどこかから落ちたりしたのか、僕はまた死んだ。そこら辺の記憶は曖昧だが、とにかく数えきれないほどの死とともに僕は成長した。僕は死んで死んで死んで死んで、そして生きたんだ。そして急速な成長を遂げた僕は、圧倒的な力を手に入れ、世界の仕組みを知った。

自分の考えていることを声としてテレパシーで発せたり、時間を止めたり、時間を動かしたまま特定の人を停止させたり、まるで神のような力を持て余していた僕は、何故か分からないが、時空を超える力を使い、一死の世界いちしのせかいに来たのだ。何がしたいわけでもなく僕はこの世界を遊んだ。

その内自分の記憶を探ると、僕は肺が上手く機能しなかったせいで死に、本当ならある男の子の弟になる予定だったらしい。

(その子が死んだら会えるのかな? 楽しみ)


そしてさっき、ようやくこの世界で会うことができた。僕の兄、鏡翔太に。

この世界でやることが見つかった。

嬉しい。


--兄ちゃん、君も神の力を手に入れようよ。



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