時間

祖母がおかしくなるまでの時間はそうかからなかった。私は祖父が亡くなった後、祖父に対し悲しみや寂しさよりも、徐々に憎しみに近い感情を持つようになった。私は、祖父のお墓に葬式以来行かなかった。姉や兄には、可愛がってもらったくせに恩知らず、などと言われたが行かなかった。中学に上がっても私は、祖父の死がイマイチ現実として受け止められなかった。でも祖母のことが好きなのは変わらなかった。私は中学でバスケ部に入った。部活で忙しくて祖母には中々会いに行けなかった。今思えば、忙しいは言い訳だった。祖父の死んだ家は、怖かった。私はお線香の匂いが嫌いだった。変わってしまった祖父母の家の匂いが、受け入れられなかった。13歳の私は、成長する。徐々に、姉と兄があの頃祖父母の家に行きたがらない理由がわかってきた。祖母は横暴だった。理不尽に母を攻めたり、大声で怒鳴ったり、お金で解決しようとする。そういう大人の汚い面が、13歳の私は見えるようになった。祖父が亡くなって寂しいだけだと言い聞かせた。だから私は、徐々に変わり始めている祖母の家に、足を運んでいた。祖母のことが、好きだった。

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