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後から聞いた話をする。
祖父が亡くなったのは4月27日の午後3時ごろだった。その日、祖母と祖父は珍しく一緒の部屋でテレビを見ていたらしい。祖父は父が初めての給料で祖父にプレゼントしたTシャツを着ていた。その日の朝、友人に電話をし私の話をしていたと聞いた。孫が今日ソフトボールの試合から帰ってくると話したようだ。祖父はトイレに立ち上がり、そして間も無く、トイレからうずくまりながら出てきた。痛い、痛いと言って。祖母は祖父が心臓発作を起こしたのだと思った。処方されていた薬を急いで飲ませても痛みは治ることはなく、間も無く救急車がやってきた。家から運び出される頃にはすでに、意識はほぼなかったという。大動脈瘤破裂の生存率はほぼ無い。私以外の家族が病院に集まった頃には、機械によって辛うじて生かされている状態だった。学校から急いで向かった姉と兄。大きな声でなく祖母。そして母は、私が帰ってくるから生きろと叫んだらしい。祖父は私以外の家族に看取られて死んで行った。数時間前までは、祖母とテレビを見ながら私の話をしていたらしい。私はただ1人、祖父の死を看取れなかった。
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