無知

祖父と祖母は良く喧嘩した。祖父はどこで買ったのかも分からない重たい木刀を、祖母が作った料理に叩きつける。大げさなほどにお大きな音を立てて皿の破片や料理が散らばる。祖母は黙ってそれを片付けていた。私は何時もそれを泣きながら見ていた。泣く私を祖父は抱きしめる。祖父の腹は病的に膨れていた。その膨れた腹に必死にしがみついていた。しがみつく私の腕を、いつも祖母が強引にほどき私を祖父から引き離した。それでも私は、祖父と祖母が大好きだった。


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