のんびりで駆け引きに疎い「負け組」クロエ。
彼女の卒業論文執筆のパートナーになったのは、入学以来一言も言葉を発しないことで知られるリュシアンだった。
言葉を口に出せない彼との交流は、鍵付きの手帳。
彼の気持ちは表情からも察しがつかない。けれど、彼が書き連ねる言葉は、クロエに対する情熱的な想いに満ちていた――。
のんびりだけど芯の強い主人公クロエと、「口が利けない」ことで周囲に誤解されがちなリュシアン。
リュシアンは容姿端麗・運動神経抜群。クロエに対する想いを「鍵付きの手帳」の中や、ちょっとした行動で示していく。
うん、すごく良い、萌える……悶える……リュシアン最高。
でも、この物語はそれだけじゃない。
言葉を紡げないリュシアンが、クロエと関わって変わっていく。
彼が周囲に向ける目も、周囲が彼に向ける視線も、ともに変化していくのだ。
そしてクロエも、自分の弱さやズルさと向き合いながら大人になっていくのだ。
世界の端は広がり、その向こうに新しい未来が見える――。
恋のドキドキ、青春のきらめきに満ちた、読後感が良い作品です!