第15話文化祭その2・放課後
体育館がざわついていた。
悪い意味で…
まぁざわつきたい気持ちもわかる。
スケジュールに穴があってこの後何があるのかなと思ったのかと思えば、名前も知らない奴が何かするパフォーマンスなんて興味がある奴なんてなかなかいないだろうなと思った。
僕はお客さんに向かってお辞儀してピアノにの前の椅子に座った。
とても緊張していたが、なぜだがみんなの前で演奏するのが楽しみで仕方なかった。
突然演奏することになったのに変だなと思いながら、演奏を僕は始めた。
演奏する曲は、次のコンクールの課題曲にした。
普通ならみんなが知っている曲を演奏した方が盛り上がるのではないかと思ったけど、こんなことになったのに僕はこの場を借りて水野に、ただ彼女に今の僕の演奏を見せたいだけで課題曲を選んだ。
これで会場の盛り上がりが最底辺になったら、謝らないとなと思いながら演奏に集中した。
演奏を初めて、まずは会場のざわつきをなくすため勢いよくそして激しく音を鳴らした。
コンクールでやったら当然減点だろうがここでは体育館のお客さんを盛り上げるのが目的のため全力で音を鳴らした。
次に会場が静かになり始めたので今度は滑らかに強弱をつけて、お客さんを魅了する。
僕ができる最大限の技術で強弱をつけた。
そして、最後の方になってきたので最後は僕の感情を全て出せるようにそして、今見てる二人に僕の気持ちが伝わるように丁寧にそして優しく演奏した……
演奏が終わった…
終わった途端会場中から声が上がった。
とても盛り上がっていた。
僕の演奏はこの体育館のみんなに伝わってくれたようだ。
「すごい!本当にすごい!」
早川さんが演奏が終わった僕に興奮しながら言った。
僕は自分の精一杯の演奏ができて良かった。
そしてスケジュール通り最後のパフォーマンスをして、文化祭の全スケジュールが終わった。
疲れたな…
と思いながら気がついたらお気に入りの場所に僕はいた。
お気に入りの場所は夕日が入ってとても眩しくなっていたが、やっぱりこの場所は落ち着くなと思った。
今屋上に行けたらどんなに綺麗なんだろうなと思ったが当然鍵が閉まっているため、屋上に行くことが出来なかった。
みんなの文化祭の後片付けの声が聞こえた。
結論から言うと後片付けをサボってしまった。
なぜかと言うとこの後いつもの流れなら打ち上げがあり、クラスで楽しむらしいのだが、どうせ僕は誘われないのでその場に居たくなかったためいつのまにかきてしまったのだろう。
突然の演奏したせいか流石に疲れていた。
少しゆっくりするつもりがもう20分ぐらい休んでいた。
肌に冷たい感覚があった。
その感覚で起きた。
「やっと起きたーもう寝坊助さんめ!」
早川さんが起こしに来てくれたのかと状況的に理解した。
「ごめん、寝てた」
「うん、本当よく寝てたよー!」
早川さんは手に持っていた飲み物を僕にくれた。
「多分七瀬君打ち上げ呼ばれてないと思って呼びに来たんだ!」
なんていい子なんだと思いながら、
「ごめん、僕はいいや。」
「えー、今日のヒーローなのにー」
「まぁ、じゃあここで二人だけで乾杯しよ」
ほれほれ飲み物を当てて来た。
カチンと音がなった。
てか、学年1の美少女とこんな場所で、二人きりヤバイ多分僕心臓破裂して死ぬかもしれない。
そんなくだらないことを考えていたら、早川さんがスカートのポケットから鍵を出して来た。
「問題です!この鍵はどこの鍵でしょう?」
「もしかして、屋上の鍵?」
「正解ー!七瀬君文化祭頑張ってくれたし、私をたくさん助けてくれたから、なんか出来たらいいなと思った時、あかりがこの場所好きなんだよって言ってたから、屋上行って見たいのかなと思って、先生から借りて来ちゃった。」
もしかしてと思ったがとても信じられなかったが早川さんが嘘つくはずもないし、僕はとても嬉しかった。
ずっと見たかった屋上の景色が観れるからだ。
えへへと言いながら凄いことをしたなと思いながら、僕は「屋上行ったことないから行って見たい」と平然を装いながら言った。
屋上の景色を見るだけではしゃいでいたら子供だと思われるのが嫌だったからだ。
「私も言ったことないから楽しみ」
早川さんも、楽しみな様子で鍵を開け始めた。
ドアの鍵を開けて、僕たちは屋上に出た。
そこには今まで見た景色の中で一番綺麗だった。
高さは全然高くないけれども、夕日と今までどんな景色なのかなと言う期待で、景色がより一層綺麗に見えた。
「七瀬君今日は本当にありがとう。屋上の景色はどう?」
「今まで見た中で一番いい景色だ。本当に屋上の景色を見させてくれてありがとう。」
彼女が僕の目の前に来た。
「あの、私七瀬君に言いたいことがあるんだ…」
僕は何を言われるのか予想がつかなかった。
そして彼女が言った言葉は僕には絶対予想がつけられないものだった…
「私、七瀬君のことが好きです。私と付き合ってください!」
「え…」
僕は生まれて初めて女の子から告白された…
そしてそれは僕が憧れていた特別な人からの告白だった。
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