第12話 彼女にきみは似ている
2学期になり、僕が通う学校はお祭り騒ぎだった。
なぜかというと文化祭があるからだ。
クラスのみんなは最期の文化祭だからと言ってみんなテンションが上がっていた。
当然僕はテンションなんか上がらなかった。
文化祭といえば、ぼっちでいるのを見られたくなくて、僕のお気に入りの、屋上のドアの前にひたすら文化祭が終わるのを待っていた記憶しかなく、文化祭はとても退屈なものだと思っていた。
学級委員の二人がみんなの前に立ち、クラスでやる出し物を決めようと意見を集めていた。
カフェやお化け屋敷など色々な意見が出ていた。
正直僕はどれになっても関係ないと思っていたので、興味がなかった。
そんな僕を見ていたからなのか、わからないが、突然早川さんから「七瀬君何かやりたいものない??」と聞かれた。
僕は何をいえばいいかわからなくて、まだ出ていなかった劇と答えた。
周りは「劇とか間に合わなくね」とか「いやそれはないでしょー」とか批判的な意見が多かった。 まぁ僕に批判的なのはわかっていたが、ここまで批判されるとなかなかキツイ。
しかし早川が「いいじゃん!劇、やろうよ!!」と言った
「劇ならみんなで出ることもできるし、午前だけの公演なら、午後はいろんなクラスを回ることもできていいと思うな私は!!」
「まぁ早川さんがいいなら」とクラスのみんなは急に納得し始めた。
スクルカーストの差を思い知らされた瞬間だった。
別に悔しくないけどね…
結局劇は、美少女と野獣というメジャーな物語をクラスみんなで劇にすることになった。
そして放課後、帰ろうとしたら早川さんが僕の方に来た。
「ありがとね!七瀬君いい出し物の案を言ってくれて」
「いや、あれは早川さんがフォローしてくれたから劇になっただけであって僕の力じゃないよ」
そんなことないよ〜と早川さんは言った。
「それで何か用?」
僕は早く帰ってピアノの練習がしたかったので要件を聞こうとした。
「うん!七瀬君、私と一緒に文化祭実行委員になって欲しいと思って!!」
僕は多分言われた瞬間とても嫌な顔をしたと思う。普通の男子ならあの早川凪と一緒に文化祭実行委員になることができるなら誰でもやるだろう。最期の文化祭で文化祭を楽しくするために学校のみんなのために、頑張るのなら、とても思い出に残ると思う。
けど僕は違う。普通の男子と違って表に出たくない人間だからだ。
「やろうよ!」
こういう所は水野あかりに似ていると思った。類は友を呼ぶとはこういうことなのかなとおもった。
「うん、いいよ。早川さんが僕でいいなら文化祭実行委員になるよ。」
正直やりたくなかったが早川さんの頼みは断れなかった。
彼女は喜んでいる様子だった。
「じゃあ明日から、会議があるからよろしく!」
彼女は笑顔で、さよならを言って、帰って言った。
彼女の笑顔はとても懐かしく見よぼえのある笑顔だった…
この文化祭実行委員を引き受けたことにより、僕の人生は大きく変わることになることを僕はまだ知らなかった…
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