第9話彼女との綺麗な思い出

 彼女との約束の為、僕は高校の近くの待ち合わせのコンビニに行った。

 早過ぎたかな…と30分前に着いたら、彼女はもういた。

「早いねまだ30分前だよ?」

「"私も今来たところだよ"って言いたかったんだもん!」

 彼女は笑いながら、そんな冗談を言う。

「それ言ったら意味ないじゃん」

「ほんとだねー笑」

 僕はそんな冗談を言う彼女が可愛いと思ってしまった。


「じゃあ行こうか!私が前々から行きたかったお店に!美味しいチョコケーキのお店なんだ!」

「うん、僕も甘いのが好きだから、楽しみだな」

「へえー、君は甘いもの苦手だと思った」

「なんでそう思った?」

「ネガティブ思考で暗くて、甘いものよりも苦いもの食べてそうな顔してるから」

「ひどいよ!僕だって傷つくんだからね!」

「ごめんごめん!」

 こんなどうでもいい会話をしながら、目的のカフェに向かった。


 カフェに着き中に入ると、とても甘い匂いなどがした。

 チョコケーキと、コーヒーを2つずつ僕らは頼み、待っていた。

「ねえねえ暇だし、質問ゲームしない?」

「いいよ、どんなルール?」

「質問は交互にしていき返答は、YESかNOのどちらかでしか答えてはいけない。答えられない質問があったらパスしていいけど、そこで質問ゲーム終了!そしたら今日はその人の家来になると言うで!

 あとエッチな質問は無しだからね!」

「そんな質問しないわ!」

 そんなわけでゲームが始まった…


「君は女子の髪型はロング一番好きだ。YESかNOか?」

「YES」

僕も手始めは簡単な質問にした。

「君の好きな食べ物はチョコ」

「YES!」

 彼女は元気よく自分の好きな食べ物を言った。

 その後、いくつか質問しあって少しニヤついて水野あかりは次の質問をした。

「クラスで一番可愛いのは早川凪だ。YESかNOか?」

 僕は答えるか迷ったがまだ彼女にしたい質問があったので答えることにした。

「…YESで、」

「ふーん凪がタイプなんだ〜」

 彼女はニヤニヤしていた。

「とにかく僕の番だ!君は僕が中学入る前の時の演奏を聴いたことがあるかYESかNOか?」

「そんなんでいいの?」

「うん」

「じゃあYESで」

この答えを聞いて彼女が相当昔からぼくのことを知っていることがわかった。

「私はクラスで5番目以内に可愛いか?YESかNOか」

「…YESです…」

今僕はとても顔が赤くなっているだろう…

「きゃー嬉しいなー」

「すんごい棒読みですけど…?」

 まぁまぁ気にすんなと彼女に励まされた。

 僕は僕のしたかった質問をした。


「僕がこれからピアノをやらなくても友達でいてくれますか?」

正直このままピアノを続けられるかはわからなかったから、とても不安だった。

 コンクールと同じぐらい、ドキドキした。


「当然!YESだよ!君は私が支えてあげないと、どんどん堕落していくもん!」

「ありがとう…嬉しいよ」

 涙が出てきそうになったが必死にこらえた。

彼女の前で泣けば絶対バカにされるから我慢した。

「お待たせ致しましたチョコケーキと、コーヒー2つになります」

 ウエイトレスさんが待ちに待ったチョコケーキと、コーヒーを持ってきてくれた。

「じゃあ、私の質問で最後ということで!いくよ!」

「相変わらず急だねまぁいいけど」



「私は、あなたの恋人になりたいって言ったらなれますか?YESかNOか?…」



「え…」

「ほらほらYESかNOだよ!」

 沈黙が続いた…

 僕はどう答えればいいかは分からなかったからだ。

 確かに彼女はとても気になるし、一緒に居たりするとドキドキすることがある…


 でもこれが恋愛感情なのか僕には分からなかった…


「ブッブー!時間切れでーす!君の無条件で家来です!」

「ちょっと待って!そんなのルールにはなかったじゃん!」

「だって考える時間長いんだもん!とにかく終わり!

 早くチョコケーキ食べよ!」

 僕は納得いかないがチョコケーキを食べることにした。


 カフェを出てこれからどうするかを僕は悩んでいたら、「ほらほら、私の荷物持って〜、今日は、君は私の奴隷なんだから!」

「はいはい…あと!奴隷じゃなくて、家来な!」



 結局カフェを出た後やる事もなかったので、帰ることにした。僕は彼女の家まで送ることにした。

「今日は私に付き合ってくれて、ありがと!」

「ううん、僕も楽しかったよ」

「またね!」

 そう言って彼女は家の中に入って言った…


 僕も家に帰ることにした。

 帰り道、僕は最後の質問の答えを考えていた。僕は彼女のことが好きなのか…

 それともただ憧れの特別な人間だから気になっているのか、月を見上げながら帰った…



 家に帰り、風呂やご飯も食べ、ベットで寝ながら、早く明日にならないかなと思った。

 彼女とまた明日会えるそれだけで僕は学校に行きたいと思っている僕がいた。

 


 この時の僕は彼女が当たり前にいると思っていた…



 朝学校に行くと彼女は学校に来なかった。


 そしてその日から彼女、水野あかりは学校に来ることはなかった…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る