第4話変わるきっかけを君はくれたんだね

 水野あかりと別れて家に戻り、いつも通り母に「ただいま」と言い、いつも通り部屋に戻ろうとするといつものように妹の美菜はピアノを弾いていた。

 僕の家は特別な用事がない限り夜ご飯は4人全員が揃って食べる。

 僕はそこでピアノの切り出すことにした。

「父さん、母さん、ご飯食べ終わったら二人に話があるんだ」父も母も「わかった」と言いご飯を食べた。


 ご飯が食べ終わり、父が「何だ?何か頼み事か?」と聞いてきた。

 父はピアノのレッスン以外ではとても良い父だと僕は思っている、だけどピアノに関した事には、僕達の関係に家族というものはないと過去の経験上僕は知っている。

 なので僕が自分からピアノを辞めたのにまたピアノを始めたいなんて自分勝手な事言ったらどれほど怒られるかと想像しただけでなかなか切り出せなかった。

 しかし、音楽室で弾いだあの感覚をまたあじわいたいと思ったし、水野あかりとの約束を破ればまた僕は僕の事を嫌いになってしまうと確信していた。

だから僕は勇気を持って話す事にした。

「僕は今度のピアノ東関東コンクールでる事にした」

 父は特に驚く様子もなく怒ることもなく「そうか、なら出ればいい、ただし私の名前に傷をつける演奏だけはするなよ」と言いリビングを出た。


 母は「今年は進路のこともあるから、健康には気をつけて頑張りなさい」と嬉しそうな顔しながら言ってくれた。


 二人の了承も取れたので、早速ピアノのある部屋に行った。

早くピアノが弾きたかった。

あの時の感覚をまた味わいたかった。

だけど、部屋には僕よりも早く美菜がいた。

「私が練習してんだけど邪魔だからお兄部屋に入ってこないでくれる?てかなんで来たの?」

相変わらず僕には生意気な態度をとる妹の美菜だった。

「僕もコンクールでる事にしたら僕も練習するんだよ」

「ふーん、今度も途中で辞めちゃうんじゃないの?」挑発気味に言われたが、我慢して聞き流す事にした。

「じゃあいつ、ピアノ使っていい?」

「夜は私が使うから、朝にやれば?」と笑いながら言われて流石にムカついたが、妹は中学生だがピアノの腕は高校のトップクラスと言っていいほど才能と実力があり、妹の練習時間を奪ってしまったら結果主義の父が黙っていないだろう。

 だから僕は飽きられて部屋に戻った。


 次の日その話を水野あかりにすると「じゃあ、朝5時に起きて練習するれば?で放課後は学校のピアノ借りて練習完璧じゃん!」

こいつは普通の人間とは違う感覚の持ち主だなと思った瞬間だった。

 でも実際それしか練習手段がないのでそれ案になった。

《《》》コンクールまであと1ヶ月間朝5時に起きてしかも放課後に練習今までの僕には考えられないハードスケジュールでこなすことができるか心配になったが、覚悟を決めた以上頑張ってみようと思った。しかしこの時僕はまだ知らなかった。


 この生活僕が予想してたよりも大変なものかを…

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