グレスリー商会の末路

 他流試合から数日が経過したある日、モハンを訪ねて数人の若者達が村にやって来た。


 彼等はグレスリー商会で働いていた鍛冶士だったがリストラを喰らったらしい。


「酷いんですよ! 我々は命令で作ったにも関わらず『あんな不出来な鎧を作った鍛冶士などいらん!』て言われてクビを切られたんですよ!! 八つ当たりも良い所ですよっ!!」


「何か悪いね、僕が関わったおかげでとばっちりを受けたみたいで・・・・・・。」


「いいえっ! モハン様は悪くないですよっ! あの鎧を見た時にモハン様が関わっているだろうとみんなで噂していましたから。」


「それで、君達はこれからどうするんだい?」


「我々はこの村で工房を作ってモハン様のお店で作った物を売って頂きたいと思っております。」


「それはありがたい話だよ。」


 こうして村に工房が出来た。


 工房の名前は村の名前を取って『マハラ工房』となった。


 工房が出来たおかげでエラコンドを効率的に採掘出来る様になり、鎧は勿論、様々な物に使用される様になった。


 包丁を作れば切れ味抜群、フライパンを作れば焦げ付きが無く、農具を作れば使いやすいと評判。


 工房のルールとして武器や鎧は基本受け付けず、あくまで庶民の生活に適した物を作っていく事になった。


 鍛冶士達曰く『人を傷つける物を作るのはもう懲り懲りだ』との事。


 やはり、自分が作った物が戦争等に使われるのは嫌だったらしい。


 それから数週間後


「おいおいっ! 遂にグレスリー商会、倒産したぞっ!」


 ディオが新聞を持って慌てて我が家にやって来た。


「意外と早かったな。」


「やっぱり貴族からの賠償金や王族の契約の打ち切りが響いたらしい。あっという間に店舗が閉店して最終的には夜逃げ同然に王都から出ていったらしい。しかも従業員の給料未払いだって。」


「お金ぐらい払ってあげれば良いのに。」


「所詮は人の上に立つ者じゃなかった、という事よ。モハンさんを切った時点でこうなる事になるのは決まっていたのよ。」


 

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