祝勝会、そしてその後……

「それじゃあ勝利を祝って……。」


『かんぱーい!!!』


 グラス同士が打つ音がこだまする。


 あの後、他流試合終了後、俺達はすぐに村に戻ってきて祝勝会をあげていた。


「これも皆さんの協力のおかげです。ありがとうございます!」


「いや、タハールの実力もあるし、そもそもあの鎧、動きやすさを完全に無視していただろう。」


「あの鎧じゃ実力の十分の一も出し切れてないよ。上から見ても凄い眩しくて見づらかったよ。」


「完全にデザインミスですね。お飾りだったらあの派手さは納得いきますけど……。多分、お父様だと思いますわ。」


「そういえば、かなり慌ててるように見えたけど?」


「まぁ、勝てると思っていたみたいですからね、職人を呼んで怒鳴り散らしていましたわ。見苦しくて情けなくなりましたわ。」


「兄さんも負けるとは思っていなかったみたいで……。多分、商売にも響くでしょうね。」


「じつは鎧を進言したのはケエル達みたいだよ。高給をもらっているけどあまり仕事をしてなくて評判が悪かったみたい。起死回生であの鎧を作ったみたいだよ。」


「あいつらは戦い方をわかってなかったからなぁ。更に居心地が悪くなるんじゃないか?」


 この俺達の予想は見事に後日大当たりとなる。


 他流試合から数日後、王都に行っていたディオがニヤニヤしながら戻って来た。


「グレスリー商会、王族や貴族との契約、切られたらしいぞ。」


「本当ですか!?」


 モハンが驚いたように言う。


「やっぱりあの他流試合が効いたんだな。」


「それだけじゃない、あの鎧、実は100%エメナル製じゃなかったらしい。他にも貴族に献上した鎧もエメナルと他の金属を配合していた物らしい。」


「貴族は材質よりもデザインを重要視しますからね……。」


「それもあって、いろんな貴族から訴えられて今経営は火の車らしい。近いうちに潰れるな。」


 当然と言えば当然の結果だろうな。


「更に言えば、国自体も経済が悪化しているらしい。あの鎧、相当お金を使ったみたいで王族は四苦八苦してるみたいだ。」


「て言う事はケエル達の待遇も悪くなってるんだな。」


「みたいだなぁ、城で仕事してる奴らもリストラされるかもしれない、と戦々恐々だ。」


 その前にクーデターが起きやしないか心配だな。


 お金はやっぱり計画的に使わないとダメだな。

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