鎧を作る

「このブロックからエラコンドをどうやって取り出すの?」


 普通は『錬金術師』に頼むのが一番いいんですが、王都の錬金術師には流石に頼めませんね。」


「うちの国から錬金術師を呼び寄せましょう。」


「あぁ、ハシマラ国にも錬金術師はいるもんね。」


 数日後、その錬金術師がやってきた。


 意外と若い女性なのでビックリした。


「はじめまして、ハシマラ国の宮廷錬金術師の『メナール』と申します。」


「彼女は最年少で錬金術師の免許を取得した天才なんですよ。」


「いえいえ、天才だなんてそんな……。」


 でも国お抱えなんだから実力はある、と言う事だ。


「因みにこういう作業はやった事あるのか?」


「無いです。本では読んだ事あるんですが……、でも一生懸命がんばりますね!」


「……なんだか、うちの国の宮廷錬金術師とえらい違いですね。」


「セイラが知ってる錬金術師とは違うのか?」


「我が国で雇っている錬金術師はもっとプライドが高いんですよ。錬金術自体が貴重ですから国も優遇してるんです。」


「うちの国は予算が無いですから……、他国からも誘いはあったらしいんですけど彼女は我が国に来てくれたんです。感謝しかないですよ。」


 ブロックからエラコンドを取り出すには大きな鍋にブロックを入れ、特殊な薬品を入れた水を流し火をつけてかきまぜる。


 土が解けて底に残った物がエラコンドだそうだ。


「簡単に取り出せる方法があれば良いんですけどね……。」


 まだまだそこまでの技術は無いそうだ。


 そして数時間後にはエラコンドの板が出来上がった。


 銀色に光り輝くそれは眩しかった。


「これで鎧が作れます。」


「鍛冶屋はどうするんだ?」


「すでに頼んであります。」


「若、来ましたぞっ!」


 やって来たのはこないだのゲイツさんだった。


「すいません、隠居なのに呼び出してしまって。」


「いやいや、あのエラコンドを加工できると聞いたら黙っている訳にはいきますまい! この老体、久しぶりに腕がなりますわっ!」


 ものすごくイキイキした表情をしているゲイツさん。


 村にもかつては鍛冶屋がいたので鍛冶場はある。


 流石に道具は錆びているのでゲイツさんが持ってきた。


 こうして鎧作りが始まった。


 これが3日間かかった。


 何せ加工された事があまり無いエラコンドを相手にしているのだから試行錯誤は当たり前だ。


 仕事は丁寧かつ慎重に行われた。


 そして、鎧が完成した。


 デザインはハシマラ国の物と同じだ。


「見た目は同じでも輝きとかが違いますね。」


 タハールは満足げである。


「そういえば、その他流試合には誰が出るんだ?」


「僕が出ますよ。」


「えぇっ!? タハールが出るのっ!? 剣術とかやった事あるのっ!?」


「レイカ姉……、僕だって一応騎士団の団長をやってるんだから、凹むよ。」


 うん、レイカはもう少し考えて発言しよう。




 

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