人間、覚悟を決めたら強くなる

 私、『ユミカ・レイグース』は街で働いていた時に『モハラス・ワグラー』と出会った。

 彼は私が田舎者の庶民であるにも関わらず、猛アタックしてくれて思わず心が揺れてしまい彼のプロポーズを承諾してしまった。

 この時、ダイナと付き合っていたのだが一方的に別れの手紙を出して終わりにしてしまった。

 今、考えると本当に酷い事をしてしまった、と後悔している。

 ミファちゃんは私がダイナと交際しているのを知らなかったのは救いだと思っている。

 多分、知っていたらミファちゃんは一生私の事を許してくれないだろう。

 私もあの頃の私をぶん殴ってやりたい。

 結婚する時も彼の両親とゴタゴタがあったけど、なんとか認めて貰えた。

 実はこの時、私のお腹の中には既に命が宿っていて、結婚して数日後には長男が生まれ、翌年には長女が生まれた。

 義両親や彼は凄く喜んでくれた。

 あれが今考えれば幸せのピークだった。

 私は子育てやら貴族の生活等に追いたてられて忙しい日々を過ごしていた。

 彼とは中々会えないけど子供達、『レナウド』と『マリナ』の成長を間近に見れるだけで疲れは吹っ飛んでいた。

 しかし、そんな日々はある日突然、粉々に吹っ飛んだ。

 彼の浮気現場を目撃してしまったのだ。

 浮気相手はとある貴族のお嬢様で、私が忙しい日々を過ごしている時に、彼は浮気をしていたのだ。

 彼は宮廷に勤めていて、たまたま彼が忘れ物をしてしまい私が届けに行った時に目撃してしまった。

 ショックを受けた私は家に戻り泣いた。

 今まで過ごしてきた日々が全て否定された様な気分だった。

 私は、その日の夜、彼を問い詰めた。

 彼はあっさりと認めて、こう言い放った。

『彼女は俺の子供を産んでいる。正直、君の子供よりも可愛い。』

 私の中で『ぶちん』という音がした。

 私は彼の顔をグーでぶん殴った。

 その足で子供達になるべくオブラートに話をした。

 お父さんとお母さんは別れるかもしれない、あなた達は、家に残るか私と一緒にこの家を出ていくか、それはあなた達の自由だから、という事を話した。

 子供達は二人とも『私についていく』と話してくれた。

 義両親にはストレートに話をした。

 最初は認めてくれなかったがだんだんと関係は良くなって来ているので、義両親は私の味方をしてくれた。

 子供達に関してはちょっと話し合い中だが、子供達の意見を尊重してくれるそうだ。

 私は、子供達を迎える為に故郷に戻る事にした。

 ちょうど魔王討伐の話を聞いて、あのミファちゃんが勇者として活躍した、という話を聞いた。

 ひょっとしたらダイナも戻って来ているかもしれない。

 私はダイナに謝らなくてはいけない。

 軽率な決断で一方的に別れを告げてしまった事を。

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