幼馴染みが戻ってきた
「ダイナ、この写真はなんだ?」
キャナが一枚の写真を持って来た。
あ、キャナは俺達の家に住んでいる。
こっちの常識を教える為だ。
「あぁ~、昔のこの村の写真だよ。」
「懐かしいぃ~。あっ、私達も写ってる。」
「昔もミファはダイナにべったりなんだな。」
「お兄ちゃんの横は誰にも渡さないもん!」
俺に一生恋人を作るな、と言ってるのか?
「昔はたくさん住んでいたんだな。どうして、今の様な状態になったんだ?」
「働き口が無い、て言うのが一番の原因だな。この村では農家か木こりかのどっちかで、しかもそんなに稼げないから自然と街に行く奴等がいたんだ。その後、街に定住して、そのまま戻って来なくなる。」
悲しい話だがこれが現実だ。
「あっ!『ユミカ』お姉ちゃんだ。懐かしいなぁ。」
「確か、貴族の家にお嫁に行ったんだよな。」
ユミカというのは俺達の幼馴染みの一人で、俺と同い年。
15歳の時に街に働きに出た際にとある侯爵子息から猛アタックを受けて結婚した。
まぁ、実は俺の元カノだったりして、ちょっと酷い別れ方をして立ち直れ無かった時期がある。
ミファにはこの事を言ってなくて、アイツの中では『仲の良い幼馴染みのお姉ちゃん』となっている。
多分、知ったら偉い事になるので一生言わないつもりだし、もう気にしてない。
翌日、昼間の作業を終えて家で休んでいる時、
ドンドンとノックをする音が聞こえた。
俺は玄関に向かい扉を開けた。
「はいはい、誰ですか~?」
一瞬、言葉を失った。
「・・・・・・ユミカ?」
「久しぶり・・・・・・、だね。」
「ユミカお姉ちゃん、久しぶり!」
「ミファちゃん、大きくなったね、勇者になって魔王を討伐したんでしょ? 凄いよね。」
一瞬気まずい感じがしたんだがミファがユミカに気づいて喜んでくれたので空気が和らいだ。
「しかし、どうしたんだ? 里帰り、て言う訳じゃないんだろ?」
「うん、実はね・・・・・・、私、独身に戻りました。」
・・・・・・はい?
「旦那、愛人がいたのよ。それでぶん殴って別れた。」
「でも子供いるんだろ?」
「それで今跡取りの問題で揉めてるの。子供達は私の元にいたい、って言ってるから親権はもぎ取ってやるつもり。あんな奴等には渡さないから。」
ニッコリと笑うユミカを見て母親の逞しさを感じた。
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