盗賊あらわる、でも、その正体は・・・・・・
レイカの師匠をする事になった俺とミファ。
まずは木の剣を持たせる事にした。
何故、木なのか?
殺傷能力が少ないというのもあるが、剣というのは重く、体力を使う。
木の剣も重みがあり体力作りに持ってこいだ。
それと同時に剣術の基本も教えた。
これに関してはのみ込みが早かった。
すぐに上達していった。
俺を越えるのも時間の問題だ。
・・・・・・結構複雑だけどな。
そんなある日、ディオから呼び出された。
「盗賊が出ている?」
「王国の近辺に出没しているらしいんだ。悪いけどパトロールしてもらえないか?」
「勿論やるよ。」
「私の初陣ね! 腕がなるわ。」
レイカは気合いが入っている。
俺、ミファ、レイカの三人で村の周辺のパトロールをする事になった。
「お兄ちゃん、茂みに誰かいるよ。」
勇者になってから気配を感じる能力を身につけたミファ。
ガサガサッという音と共に覆面の男が現れた。
「か、金を出せっ!」
覆面から見える目は切羽詰まった感が出ている。
と
「成敗!」
勢いよくレイカが飛び出して行った。
慌てて俺も飛び出すがやはりミファが早かった。
あっという間に盗賊はミファにより拘束された。
「ぐえええっっっっ!?」
盗賊は地面に伏せられてうめき声を出している。
「覆面、取らせてもらうわよ。」
レイカが覆面をもぎ取った。
「あぁっ!? 貴方、うちの国が雇った勇者じゃない!?」
「え? ・・・・・・レ、レイカ姫っ!?」
盗賊の正体はスグラム国が雇った元勇者だった。
「なんで貴方が盗賊なんてやってるのよっ!?」
「そ、それは・・・・・・。」
男はボソボソと話し始めたのは魔王が討伐された後の元勇者達の現状だった。
魔王討伐後、各国から勇者として使命を受けていた者達は突然勇者に与えられていた特殊能力が消えたそうだ。
更に各国からの支援が打ち切られ路頭に迷う事になった。
中には実家に帰ったり就職先を見つけて新たな人生を始めたりする者もいたが大体は冒険者になる者が多い。
ただ中には生活に困り盗賊になったりする者がいて、この元勇者もその一人だ。
「仲間達はどうしたんだ?」
「あいつら、俺が勇者で無くなったのと同時に離れて行きやがった!」
「貴方ね・・・・・・、勇者だから、て好き放題やって来たでしょ。報告は来てるんだから。」
「え゛・・・・・・?」
「貴方達がちゃんと任務を果たしているか監視の者が密かについていたのよ。」
「えっ!? 私、初めて知ったよっ!?」
「俺もだっ!?」
「ほぼ各国は付けているはずよ。勇者=国を背負っているんだから。」
後でセイラに聞いたら、俺達にもついていたらしい。
要は嘘の報告が出来ない様にしていたらしい。
「貴方は行く先々で勇者である事を良い事に女性を口説いていたわね。お父様も呆れていたわよ。」
「・・・・・・その、調子に乗ってました。すみません。」
「貴方なんて、まだ良い方よ。他国では犯罪行為に手を出してお尋ね者になった元勇者もいるんだから。」
「何それっ!? 私は命がけで旅をしてきたのにっ!?」
ミファが怒るのも当然だな。
「貴方、選択しなさい。この場で罰を受けるか。それともスグラムに送られて罰を受けるか。」
「ぐぅぅ・・・・・・、この場で罰を受ける。」
「そう、じゃあ私にボコられるという事で良いわね。」
スラリと木の剣を構えたレイカ。
直後に元勇者の悲鳴が響き渡った・・・・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます