婚約破棄の真相
「レイカ! すまない! 君と結婚は出来ない! 俺は『シュミル・ソワーズ』を愛してしまった!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
私、『レイカ・スグラム』は突然の宣言に呆然としていた。
今日は婚約者である『ミゲル・ハスラム』王子様の誕生日パーティーで王族は勿論、貴族等、レンゲル国の関係者が多く出席している。
当然、婚約者である私も呼ばれて出席したらこの有り様である。
「申し訳ありません! レイカ様! でも、ミゲル様を好きになってしまったんです!」
ミゲル様の隣に寄り添う様に立っているのがシュミル男爵令嬢、何でもレンゲル国では人気があるらしい。
「・・・・・・ミゲル様、一つ聞かせていただけないでしょうか? 私の何が気に入らなかったんでしょうか?」
「レイカ、君に落ち度は無いんだ。君は完璧な淑女だ。だが君は完璧過ぎて一緒にいると疲れるんだ。シュミルは一緒にいると落ち着くし、安らぐんだ。」
「嬉しいですわ! そう言っていただいて。」
「シュミル、君は俺の天使だ!」
「ミゲル様・・・・・・。」
イチャつく二人を見て私の築き上げた物が音をたてて崩れていった。
私は深呼吸をして心を落ち着かせる。
「・・・・・・・・・わかりましたわ。婚約破棄を受け入れます。お二人共、お幸せに・・・・・・
・・・・・・・・・何て言うと思ってんのかぁっ!!ごらぁっ!!」
「ぐはぁっ!?」
私は持っていたグラスを叩き割りそのままミゲル様、いやバカ王子に飛び蹴りをしてやった。
「な、何を・・・・・・。」
「てめえが自分の立場をわからずに自分勝手な事を言うからだよ! 良いか!? てめえは私の家に婿養子として入ってくるんだよっ! それがどういう意味かわかってんのかっ!?」
私は自分の口調が荒れている事に気づいていましたが気にするつもりはありません。
私の中の『何か』がキレた事だけはわかった。
このバカ王子と婚約したのは5歳の時だ。
それから私は厳しい教育を受けてきた。
10年間、私は婚約者として恥ずかしくないように接してきたつもりだ。
その10年をこのバカ王子はたった今否定したのだ。
10年間溜まっていた物が一気に爆発した私はもう自分でも止められなかった。
「好きかどうかわからない相手の為に私は10年を費やしてきて、他に好きな女性が出来たから婚約破棄? ふざけんなっ! 私の10年を返せっ!」
私は馬乗りになって王子の顔面を殴っていた。
人を今まで殴った事が無い私が今バカ王子はボッコボコにしている。
多分、母国の関係者がいたら卒倒する光景だろう。
何せ私は今まで淑女として育てこられて来たのだから。
ある程度バカ王子をボッコボコにした後、私は次の獲物を睨んだ。
シュミル男爵令嬢、いやバカ女は『ひっ!?』と悲鳴をあげてその場を逃げ出そうとしていた。
「逃がすかぁっ!!」
私は履いていたヒールをバカ女に投げつけた。
ヒールはバカ女の後頭部に見事に当たってバカ女は倒れた。
「人の婚約者に手を出して只で済むと思ってんのかぁっ!?」
「ご、ごめんなさい・・・・・・。」
「ごめんで済んだら軍隊なんていらないんだよっ! お前がやった事はスグラム国に宣戦布告したのと同じなんだよっ! 国を代表する王子と王女が結婚する事がどういう意味があるのかわかってんのかっ!?」
バカ女は涙目になっていた。
でも、殴った。
止めに来た兵士も膝が当たり巻き添えを喰らったらしい。
もう、全てどうでもよくなっていた。
私も罰せられるなら罰を受ける。
結果、私はバカ王子とバカ女を病院送りにするまでボッコボコにした。
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