ミハエル、来る

 狩りのレクチャーを一通り終えて家に戻って来ると、見知った奴がいた。

「ミハエル!」

「おぉ、ダイナ! 元気そうで何よりだ。」

「どうしたんだ? お前、王国の騎士団に入るんじゃ無かったのか?」

 魔王を討伐したメンバーにはそれなりの将来が約束されているはずだ。要は王国お抱えの魔術師だったり騎士だったりとか。

「そう言う話も出たんだが、辞退したよ。騎士なんて俺には似合わないからな。俺は気ままな冒険者の方が性に合っている。」

 確かにそうだ。コイツに騎士なんて似合わない。

 「だけど、それじゃあ国としてのメンツが無い、て言われたから今はギルドを作る事にしたんだ。」

「て事はギルドマスターか、そりゃ良いな。」

「で、お前やミファに実は頼みがあるんだ。名前だけでも良いからギルドに所属してくれないか?」

「俺が? ミファならわかるけど。」

「立ち上げたばっかりだから登録者がいないんだ。他のギルドからは新参者として冷たい目で見られてるし。」

「それだったら此処にギルドを作れば良いんじゃないか?」

「良いのか?」

「見ての通り、土地は余ってるし。」

「なるほど、此処だったら他のギルドの目も気にしないな。」

 ミハエルは、どうやら気に入ってくれたみたいだ。

 ミファも『お兄ちゃんが入るなら私も入る』と言ってくれた。

 まぁ、俺の次にミハエルになついていたからな。

 俺はキャナの事を紹介した。

 まぁ、当然驚かれたが事情を話すとわかってくれた。

「そう言えば、ケエル達はどうした? アイツらは王国に所属してるんだろ?」

「う~ん、なんか予想とは違っていたみたいで不満タラタラらしい。」

 ケエルは宮廷魔術師、マリンは宮廷賢者になったらしいが、まぁ俺に対する行為とかが知られて冷遇を受けているらしい。

「王様も権力が低下していて、時期に引退かも?て、噂が出ているらしい。」

 欲に負けるとそれなりの末路があるんだな、と感じた。  

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