お姫様は精霊使い、らしい

 翌日


「おい、ミファ起きろ。」

「ん~・・・・・・。」

 寝ぼけ眼のミファを起こす。今日からはまた二人暮らしが始まる。

「ふわぁ、おはよう、お兄ちゃん。」

「おはよう、ミファ。」

 朝食の準備をしている俺にミファは抱きついてきた。

「えへへ・・・・・・、お兄ちゃんのそばにいるのが一番落ち着くよ。」

「おいおい・・・・・・。」

 一応、冷静に対処してるんだけど、旅の最中に成長してすっかり女らしくなっちゃってて、胸とか当たってるんだよ・・・・・・。

 頼むから当ててこないでくれ、頑張れ、俺の理性。妹に手を出すなんて洒落にならん。

「ほら、朝飯出来たから食卓に運んでくれ。」

「は~い♪」

 漸く、俺から離れてくれたミファ。

 朝食はパンと目玉焼きとサラダと牛乳というシンプルな物。

「嬉しいな♪お兄ちゃんと一緒に御飯を食べれる♪」

「王都にいた時だって美味い料理が出てただろう?」

「お兄ちゃんと一緒だから美味しさも倍になるんだよ。」

 まぁ、そう言ってくれるのはありがたい。


 朝食を終えた、俺達は外に出た。

「あっ!セイラちゃん!」

「おはようございます。ダイナさん、ミファさん。」

 ニッコリと微笑むセイラ。

 既に作業着姿になっている。

 流石はお姫様で作業着になっても気品の良さを漂わせている。

「ヤル気まんまんですね。」

「えぇ、夢にまでみた農村生活ですからね♪」

 そう言ってセイラは大地に手をやった。

「この地に住む精霊達よ、この地に祝福の鐘を鳴らしたまえ・・・・・・。」

何か呪文みたいな事を唱えている。

「あれはセイラの儀式ですよ。」

「儀式?」

「セイラは『精霊使い』なんですよ。精霊達と話も出来るし、根付かせる事ができるんです。」

「へぇ~・・・・・・。」

 正直、精霊なんて見たこと無いから存在するのかどうかも疑問だったんだが、セイラの周りを何やら光みたいな物が浮かんでいるのを見て、神秘的な物を見ているみたいで不思議だった。

 光は土に入り込んでいった。

「はい、これで終わりです。」

「セイラちゃん、何かしたの?」

「王国から土の精霊を持って来て、この土地に根付かせたんです。」

「セイラ、それって王国に影響が・・・・・・。」

「良いんです。お父様には痛い目にあっていただかないと。」

 何か笑みがちょっと怖かった。    


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