裏事情があるらしい

 ザクッザクッと土を耕す音が気持ちよく聞こえる。

「セイラ、あんまりスピードをあげるとバテるよ。」

「心配ありません。私、楽しいんです! こうして堂々と土に触れる事が出来て嬉しいんです。」

 本当に良い笑顔をしてるよ、セイラ姫。

「余程、菜園とか土いじりが好きなんだな。」

「えぇ、セイラはお稽古事よりも外に出て泥だらけになって遊ぶ事が大好きなんです。」

「良い事じゃないか。」

「でも両親は良くは思っていなかったみたいで、とにかく王女として厳しく躾られたみたいで、よく僕の所に愚痴りに来ていました。その頃から両親との溝は出来ていたみたいなんです。」

「クラウスはどうだったんだ?」

「僕は比較的自由ていうか・・・・・・、あまり相手にはされてませんでした。なんせ王位継承権なんて無いに等しいんですから。」

 王家ていうのも大変なんだなぁ。

「ところで、ダイナさん、勇者様に関しての事ですが。」

「ミファが何かしたのか?」

「いえ、今回僕が勇者様の身辺警護をする理由なんですが、今回の魔王討伐で我が国は勇者を生んだ国として発言権や影響力が増してくるでしょう。それと同時に勇者様の命を狙って来る輩が現れるかもしれないんです。」

「ミファの命を? なんで?」

「魔王の残党もいますし、それに勇者は一人じゃありません。各国にもそれぞれ勇者が存在するんです。彼らも魔王討伐を目指していたんですが、魔王は討伐された今では勇者の称号はミファ様だけ。元勇者達は無職となり国からの援助もたち切られてしまいます。」

「職も金も無くなったから、逆恨みもある、か。」

「えぇ、情けない話なんですが魔王討伐も政治の道具に使おうと思っているのがどの国も思っています。」

 ミファには聞かせられない話だな・・・・・・。

 聞いたら間違いなく怒るからなぁ。

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