俺は故郷に帰って来た
「久しぶりだなぁ・・・・・・。」
あれから故郷を目指して山道を歩き続けて数時間、漸く故郷である『マハラ村』へと帰って来た。
「1年経ったがかなり寂れたなぁ・・・・・・。」
何て言うか、人の気配がしない。
旅立った時も数人しかいなかったからなぁ。若い奴等は王国に行ってしまうし、仕事も農業や木こりしかない。
でも、そんな村でも俺達兄妹にとっては大切な故郷だ。
まずは村長に会いに行く。
「村長、ただいま戻りました。」
「おぉっ!ダイナ、久しぶりだな。」
「あれ?『ディオ』じゃないか? 村長は?」
「じいさんはお前が旅立ってからすぐに亡くなったよ。今は後を引き継いで俺が村長をやってるんだ。」
俺達兄妹の数少ない幼友達の『ディオ』、村長の孫だ。
「ところでミファはどうしたんだ? 一緒じゃないのか?」
「ミファは王国にいるよ。多分王宮でおもてなしを受けているだろうなぁ。」
「それだったら、お前も一緒・・・・・・、あぁ、そう言う事か。」
察してくれたみたいだ、流石は親友だ。
「よしっ!今夜は大いに飲もうじゃないか!!魔王を倒した英雄の凱旋記念だっ!!」
そう言って俺の肩をバンバンと叩くディオを見て、帰ってきて良かった、と思った。
その日の夜、俺の家でディオと二人で酒を飲む事にした。
「この村に残ってるのはディオだけなのか?」
「一応、村の責任者としているだけで、ほぼ廃村状態だよ。」
「あれ?王国から支援金は出なかったのか?」
確か、勇者を輩出した村て事で支援金が出ていたはずだ。
「最初は出ていたけど、徐々に少なくなって最近ついに打ち切られたんだ。王様は俺達みたいな田舎が嫌いらしいからな。」
「そうかぁ、まぁそんな感じがしたな。」
初めて会った時、明らかに嫌悪感を出していたからなぁ、あの王様。
「結局、村では生活出来なくて殆どが街に出稼ぎに行っちゃって帰って来なくて、山は荒れ放題だし・・・・・・。」
その後も村の現状が芳しくない事を聞いた。
「そうか、まぁ明日からは俺も手伝うから。」
「助かるよ!そうだ、旅の話を聞かせてくれよ。」
「旅て行っても、俺は結局着いていっただけだけどな。」
そう言って俺はミファ達との旅の話を聞かせた。
「ミファちゃんはぶれないよなぁ。行動理由は全部お前だもんなぁ。でも、そうなると今ヤバイんじゃないか?」
「俺も実はそう思っている。」
今のミファの精神状態は多分ヤバい。
王様の態度次第ではお祝いの席が一転、血の海が拡がる状態になるかもしれない。
まぁ、そうなったら十字を切るしかない。
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