俺は王国にも入れないらしい
王国への帰還中、ミファ達は立ち寄った町や村で、熱い歓迎やおもてなしを受けた。
まぁ、勝手に着いてきた俺には当然宿は用意されてなく、自腹で宿を取った。
移動も騎士団は馬、俺は徒歩。
当然、差が出てくるのだが最後尾の若い新人騎士が俺を待っていてくれた。
大変ですね、と言われた時は涙が出てきたよ。
良い奴だよ、新人騎士。おじさんは見守っているぞ。
そんなこんなで漸く王国に到着したのだが、ここでトラブルが発生した。
「入国許可が降りない?」
「えぇ、入国する為には入国税を払って頂かないと。」
「この方は勇者様のお兄様で一緒に旅をしてきたんだぞっ!ちゃんと許可証も出ているはずだっ!」
「ですが、この許可証は既に切れておりますので、やはりお金を払って頂かないと・・・・・・。」
実は入国する為には『入国税』と言って一々お金を払わなければならない。
俺達は今まで王国が発行した入国許可証という物で国を通って来た。
要は『魔王を退治する人達だからタダで通してあげて』、という事だ。
どうやらそれが俺がパーティーから外れた時点で強制的に切れたらしい。
当然、入国するには一般人同様税金を払わなければならないのだが王国へ入国する為の税金はべらぼうに高い。
で、俺は自腹で宿やら食事やらしていたから金が無い状態。
つまり、入国出来ない。
今、新人騎士が門番と交渉しているが多分無理だろう。
因みに既にミファ達は入国していて歓声が外からでもわかる。
新人騎士は申し訳なさそうに俺に近づいてきた。
「申し訳ありません。交渉したんですが・・・・・・。せっかく魔王を退治した英雄の一人なのにっ!」
「いや、俺は実際役に立たなかったからな。ミファに伝えといてくれ。先に帰ってるから、て。」
「本当に・・・・・・、申し訳ありません・・・・・・!!」
新人騎士は涙を流していたがそれだけで嬉しかった。
結局、俺は王国に入れず故郷に帰る事にした。
・・・・・・俺は知らんぞ、この後、どうなっても。
もう既にお城から真っ黒いオーラを感じるが知らん。
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