いつの間にか、俺は仲間じゃ無くなっていた

「・・・・・・で、ケエル達は魔王城近くの街にある病院に入院中だ。」

「ミファ、やりすぎだ。話を聞いてるとどっちが魔王かわからんぞ。」

「うぅ~、だってお兄ちゃんが先に魔王城に行った、て聞いたから、お兄ちゃんが魔王に殺されちゃう!て思ったから・・・・・・。」

「冷静に考えて、俺が一人で魔王城に乗り込む訳無いだろ。」

 ミハエルの話を聞いて、俺は軽く目眩がしたが、とりあえずミファには軽く説教をしといた。

「まぁ、でも魔王を倒した訳だから、そこは褒めてやるよ。」

「えへへ♪ お兄ちゃんに褒められちゃった♪」 

 頭を撫でてやると妹は喜んだ。

 まぁ、どうであれ魔王は退治出来たし、王様に報告して漸くお役御免だな。

「ミハエル、お前はどうするんだ?」

「俺は多分国営の騎士団に入る事になるだろうが、ああいう硬っ苦しい所は苦手だからなぁ。」

 気持ちは凄いわかる。俺も規律とかは苦手だ。

 そもそも、俺に褒賞が出るかどうかもわからん、活躍してないし。ミファには間違いなく出るだろうが。

「私はお兄ちゃんと一緒に故郷で暮らすんだ♪」

 そうだな、また二人でのんびりと暮らすか。

 とりあえず、今日は一泊する事にした。


翌朝

 宿を出たら前に立派な馬車が止まっていた。

「勇者ミファ殿、戦士ミハエル殿。お迎えにあがりました。国王が勇者の帰還をお待ちです。」

 どうやら、国からお迎えに来たみたいだ。

 あれ?俺の名前は呼ばれないの?

「お兄ちゃんは乗れないの?」

「剣士ダイナは、勇者パーティーのリストから除外した、と報告を受けてますが。」

 はぁっ!?

 俺は歩いて帰れ、て言うのかっ!?

 勝手にしろ、て言ってるのかっ!?

報告を受けた、て言う事は王様は了承済という事か。

 多分、ケエル達が報告したんだな。

 そう言えば、旅立つ時も王様は渋々認めていたみたいだったな。

 何か置いてけぼりを喰らった時より、脱力感が半端無いよ。

 それよりも、激怒したのはミファなんだけどな。

「何それっ!?お兄ちゃんがいたから私は魔王を倒したんだよっ! お兄ちゃんが行かないなら私も行かないよっ!!」

「それは困ります。勇者様のご帰還を国民は待っております。」

「そんなの知らないっ!!私はお兄ちゃんと一緒じゃないと王国にも行かないし王様にも会わない!!」

 えぇ、騎士の方々は困っています。涙目で俺に救いを求めています。

 正直、腹もたつが騎士には罪は無い。

 俺はため息をついて

「騎士さん、俺が『勝手に』着いていくのは問題無いですよね?」

「あ、あぁっ!!全然問題は無い。」

「そう言う事だ。ミファ、俺も着いていくから。」

「本当? 本当に着いてきてくれる?」

「あぁ、だから安心しろ。」

「・・・・・・それなら行く。」

 騎士の方々もホッとしたみたいだ。

 こうして、俺は『勝手に』王国まで着いていく事にした。

 だが、ミファの機嫌は治らなかったらしくブツブツと呪詛を呟いていてミハエルはかなり居心地が悪かったらしい。

 その後、ケエル達を乗せた馬車が合流したんだが、ミファはその馬車を睨んでいたらしい・・・・・・。 

   

  



 

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