戦士から見たミファのマジギレ
俺は戦士ミハエル、神託を受けて勇者ミファの旅に同行する事になった。
魔王城に向かう前の夜、ケエル達からダイナを置いていく事を聞かされた。
俺は大丈夫か、と言ったんだが『先に行かせた、と言えば問題ない。』と言った。
こいつらは、ミファの事全くわかってないな、と思った。
ミファにとってダイナは一番大事で取り上げるとどうなるか想像できるだろう。
まぁ、実際想像以上の事が起きる事になったんだがな・・・・・・。
そして、翌朝俺達は宿を出る事にした。ダイナを置いて、だ。
俺はミファを起こしに行った。
「ミファ、出発するぞ。」
「うぅ、まだ早いよぉ・・・・・・。」
ミファは寝起きが悪い。
まだ寝たいのにぃ、とブツブツ言いながらベッドから起きる。これがダイナだったら、すぐに飛び起きるんだが今回はそうは行かなかった。
下に降りると既にケエルとマリンは準備をしていた。
「あれ?お兄ちゃんは?」
着替え終えたミファがダイナの姿を探してキョロキョロしていた。
「ダイナは既に魔王城に向かったわよ。」
「えぇっ!?」
「彼も剣士として、ミファ様に良い所を見せたいんでしょうね。」
「そんな・・・・・・、お兄ちゃん一人じゃ無茶だよっ!すぐに行こう!!」
そう言ってミファは猛ダッシュで飛び出した。
慌てて俺達も飛び出したが、正直どうなるかわからなかった。まぁ、ケエル達はニヤリとしていたが、正直嫌な予感がした。
さて、魔王城に到着した俺達。
「お兄ちゃんはどこっ!?」
辺りをキョロキョロ見回しているミファ。
「もう中に入っているんではないか、と。」
「四天王辺りと戦ってるんじゃないかしら?」
なんで、こいつらは煽る事を言うのかね?
「お兄ちゃん・・・・・・、お兄ちゃん・・・・・・、死んじゃう・・・・・・、そんなの嫌だ・・・・・・」
ブツブツと呟くミファ。
・・・・・・黒いオーラを出しているのは出来れば見逃したい。
次の瞬間、ミファはドガァッ!!という音と共に魔王城の扉を蹴り破った。
『エェーッ!?』
俺達は思わず声を揃って絶叫した。
「お兄ちゃんを傷つける奴は許さない・・・・・・」
目に光は無く、完全にぶちギレていた。
そっからは光の速さだった。
四天王が名乗りあげる前に秒速で斬りすてて行った。
「よくぞ来たなっ!我は四天王の一人『どいて』ギャアアアアッッッッ!!」
「魔王様には一歩も『邪魔』オゴオォォォォォッッッッ!?」
「な『黙れ』まだ何も言ってないのにぃぃぃぃっっっっ!?」
最後の奴は何も言わせてもらえなかったなぁ。
『名乗りをあげたかった・・・・・・。』て言うのが奴の最後の言葉だった。
俺達は後をついていくのがやっとだったんだがケエルとマリンの顔色は進むにつれてだんだんと悪くなっている。
そして魔王のいる部屋に着いた時、俺は言った。
「言っとくが、俺は止めたんだぞ。俺は知らないからな。」
二人とも震えていたな。
そして、部屋に入った俺達が見た物は、既にボロボロとなった瀕死の魔王とその喉元に剣先をつけているミファだった。
「お兄ちゃんは・・・・・・、どこ?」
「し、知らんっ!儂は知らんぞっ!?」
「嘘、つかないで。私、嘘つかれるの嫌いなんだ。いくら仲間でもね・・・・・・。」
あ、ミファの奴、気づいたな。ダイナが此処にいない事を。
あ、こっち見た。
ケエル達は『ひいっ!?』と悲鳴をあげた。
「ねぇ・・・・・・、ケエル達は嘘はついてないよね? お兄ちゃんは魔王城に行ったんだよね? でも、何処を探してもいないんだよ? どういう事かな?」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!
長年、戦いに身を投じてきた俺でもこの場を離れたいし早く帰りたい。
どうやら魔王も同じみたいで俺達に目を向けてる隙にコソコソと逃げ出そうとしていた。
「逃がさないよ?」
「えっ!?ギャアアアアッッッッ!!」
あっという間にミファに捕まった魔王はトドメを刺され断末魔と共に倒れた。
正直、この時ほど魔王が羨ましい事は無かったよ。この場から退場出来たんだから。
「で、説明してよ? お兄ちゃんはどこ? まさか、置き去りにしたわけじゃないよね?」
カチャリカチャリとこちらに近づく音が冷たく感じる。
ケエルとマリンは既に正座をしている。もう冷や汗が止まらない状態だ。
「も、申し訳ありませんでしたぁっ!! ダイナは多分着いてきても出番は無いと思い、こちらの判断で宿に置いてきましたぁっ!!」
まぁ、素直に言ったな。下手な言い訳をせずに正直に言えば多少は多めに見てもらえる、とでも思ったんだろう。
「へぇ、嘘、ついたんだ・・・・・・。私、言ったよね? 嘘つきは嫌いだし、お兄ちゃんを馬鹿にするやつらはもっと嫌いだ、て。」
聖剣を構えるミファ。
「ゆ、許してっ!ミファ!!」
ミファはニッコリ笑い
「許さないよ。」
その瞬間、魔王のいる部屋は倒壊した。
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